失敗しちまったコミックの映画化「デイック・トレイシー」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

刑事が主役の映画は多く、また警察が社会正義を実現する権力として認識している

から、そこに人よりタフで不正や暴力に対して怯むことなく向き合う者達がいて、その

人物を描けば、観客はストレス発散や心地良い面持ちになれる。

だけにタイプは違えど、いろいろな刑事が映画になっている。

そんな刑事ものにコミックのヒーローとして「トレイシー」が親しまれてきた。

それを実写化したのが、この「デック・トレイシー」である。




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http://jp.youtube.com/watch?v=qXiZReeidxM&feature=related

「デイック・トレイシー」  九十年公開作


原作コミックのイメージを損なわずに実写化するには、実写の方が漫画に近づく手法も

ありで、これまでのコミック実写よりは、映像は綺麗で原色に彩られたスクリーンは、金を

かけた後が伺える。

だからこそアカデミー賞も取れたのだろうが、刑事ものにつき物のスリリングな展開とか、

緊迫した場面とかは皆無で、二次元が三次元になっても二次元を超えられないのはどうし

てなのだろう。

まして配役は名の知れた者達でなのだが、「人間の証明」同様、ミスキャストではないのか。

特にマドンナはいけない。

いくら歌が売れていても、まったく浮いている存在で、アル・パチーノ並みの役者になりきれず

ナルシストぶりで、自分の立ち位置がどこなのか、つかめずというか元々嫌いな人なので、ど

うしてもあの安っぽさが鼻についてしまう。

もっと魅力のある女性でないとあのキャバレーの歌い手は、勤まらないだろうに・・・。

そしてそのもっともなものが主役のトレイシーなのだから、映画は盛り上がりに欠け、コミックと

実写の融合は背景の街並みや特殊撮影こそ光りを放つが、それをより魅力的にするべき俳優が

アル・パチーノの「ヒットラー」並みのボス役のみでは・・・。

要するにとっても退屈な映画、コミックに忠実でもおかしなところは修正して、コミックを超えるヒー

ローを登場させれば、また違ったものになったのだろうが・・・。

獲得・主演を務めたウォーレン・ビュティの動きが、どうにも平凡なカッコマンに終始して、キッドとの

交流も平坦、キャラクターをコミックに近づけ特殊メイクもいいが、すんなりとそれを受け入れられない。

これだったらアニメにして、そこに金をかけた方がよりコミックの世界が拡がった・・・。

まぁコミックの実写化は冒険で、小説と同じで読者が先に存在し、その人々のイメージが実写によって

壊される・・・、最近では「マッハ、ゴーゴーゴォー」なんてのも、正に「やっちまったなぁ・・・」だろう。

まぁ製作者が好きで、自己満足に観客をつき合わせていると理解すれば、それはそれで笑っていられる

それにしても腕時計の無線機とレトロな自動車との組み合わせは、アニメの方がリアルな感覚になれる

って、アニメの力だなぁ・・・。


ディック・トレイシー
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Amazon.co.jp                   といったところで、またのお越しを・・・。