切なく悲劇的な三角関係「冒険者たち」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

青春の始まりが十代なら、さて終わりは?。

そんな終わりに近づいている夢見る青年?、というより中年なりかけの男二人と

女性彫刻家との、切なくも奇妙でそしてラストではほろりとしてしまう。

そんな青春の終わりを描いていたのが、「冒険者たち」である。



冒険者たち

http://jp.youtube.com/watch?v=ioxEgiGkMm4&feature=related

「冒険者たち」 六十七年公開作


それぞれの夢を追いかけてそして挫折し、そのそれぞれの失敗が連帯感を生み、

貧困からの脱出に賭ける財宝探しに向かう・・・。

年齢的にももう後がない、そんな危うい気持ちを隠し持ち、互いの痛みも理解しあう

そこに奇妙なトライアングルが出来上がり、で、ありながら友情を感じさせる。

終る青春の痛みという、誰でも「通ってきた道」を素晴らしい背景と、それに伴う音楽

によって、より感傷的だが優しさが滲む映像となった・・・。

ひ弱なイメージから脱皮したアラン・ドロンに悪役が似合ってしまうリノ・バンチュラ、

そしてジョアンナ・シムカスの繊細でありながら大らかな受け止めが出来る女性と

ともすると三角関係の「どろどろ」が顔を出しそうなものがまったくなく、海や空の青さ

同様、どこまでも裏にある辛さを隠しつつ、青春の一こまにこんな出来事があればと

観客を釘付けにする展開が繰り広げられる。

見つけた財宝に絡んでくる敵との銃撃戦や、それによって亡くなっててしまう女性と

テンポ良く進行していき、それに心に沁みる音楽が、よりこの映画の印象を観客に

記憶させている。

脚本の良さもあり、男同士の三角関係のその間に横たわる「信頼」をさりげなくそれで

いて観客の心に「憧れ」として、沁みさせる・・・。

特に男同士の「信頼感」は、この後の「さらば友よ」に音楽と共に受け継がれ、こちらは

犯罪者でありながら「信頼」というものを、鮮やかに映像化して見せた。

そして複葉飛行機もあれば、クラシックなレースカーと、青い海にヨット、見渡す景色の

素晴らしさと、若者達の屈託ない「明日を信じる」その生き様は、現代が忘れてしまった

大らかな時代の人の営みだったのでは・・・。

「新型うつ病」が増える要素は、この映画の中には微塵もない。


http://jp.youtube.com/watch?v=PY1HeYhx5AY&feature=related

「愛しのレティシア」 アラン・ドロン


この哀愁たっぷりの曲調を耳にする度、もう四十年前の映画なのに、青春の無鉄砲さ

の痛みと共に、青春の終わりの感傷を心に運んでくる・・・。


と、もっともらしいことを書いたが、実際はよーつべでこの主題歌を発見し思い出した

映画だ。動物パニック映画もいいが、たまにはこういった見た後、優しい気持ちに浸れる

映画は貴重である・・・。


冒険者たち (再発売)
¥2,816                            といったところで、またのお越しを・・・。