囚人脱獄というものには、ダーティー・ヒーロー的にその脱獄劇が見えない足枷を
感じる人々にとっては、自由への飛翔と映るものがある。
そんなものにこの「パピヨン」も入りそうである。
http://www.youtube.com/watch?v=DARD1l-tr6g
「パピヨン」 七十四年公開作
胸に「蝶」の刺青をしていることから、「パピヨン」と呼ばれるスティーブ・マックィーンと債券偽造
で捉えられるダスティン・ホフマンの「島流し」からの脱出を描いていた映画。
特に金庫破りの罪が「殺人」となってしまったマックィーンの脱獄に対する執念は凄まじく、失敗
を繰り返しても、過酷な労働や暮らしに心が折れることなく、何度でも挑戦する。
そしてその間も、年齢は嵩んで行き、白髪の頭になってもただ単に脱出の二文字に囚われ、とう
とうその思いを実現させてしまうまでを、劇的にまたスリリングに描いて最後に脱出に成功した場
面では、それまでの観客のストレスが、断崖絶壁からの飛翔に胸がすっとする。
実際にベネズエラの市民権を得た人の原作を題材にして、過酷な強制労働のありさまや犯罪者の
死に様等、刻々と丁寧に描き主人公の容貌の変化に観客を感情移入させていく。
勿論、パピヨンをマックィーンが演じるからそれも様になってくるし、相棒のドガ役のホフマンが対照
的にどんどん心が折れ、最終的に島に残る、脱出を諦める等、キャラクターの違いを鮮明にするか
らより以上に、画面を引き締めてくれていた。
行動力と知力という者同士の共通項としての「脱出」、そこに思惑もあるが、いつしか連帯感を強め
ていく過程と、切ない男の友情を映像にすれば、観客に感動をもたらす。
それも極限の状態に置かれた者達の友情には、より熱い情が溢れて見える。
そして断崖からの脱出で、一気に観客のストレスを解消してくれて、鑑賞後の気持ちが晴れやかに
なる・・・。
という感動作なのだが、見ている人は見ていて、その感動的なシーンに、それまでの映像を台無しに
するものが映っていたと・・・。
良く編集のミスや不可解な映像をこまめに見ている人はいるもので、この作品でも映ってはいけない
ものが映っていると、それは飛び込んだマックィーンが大海原を泳ぐ、そのスクリーンの端にアクアラ
ングを装着した、大事の時の補助員が映りこんでいたというもの。
まぁ、実際に気づかなかったこちらにすれば、「ああそうなの・・・、でも、作品はそれを引いても良かっ
たから・・・」という、感想になる。
これがたとえば、パニック物とか、モンスター物に映り込んだ人や、設定にない物が映り込んだでは、
それもはっきり認識出来れば、げんなりしたかも・・・。
それでもそういわれれば、再度見直した時は、やはりそれが気になって・・・。
だが、編集のミスもだが、今はいないマックィーンの不屈の闘志に似た表情と、行動力には作り物でも
それを感じさせない役者魂を見る思いで、惜しい人を亡くしたと感傷的になる。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。