本音を訴え聴衆を鼓舞すれど、凶弾に消された「マルコムX」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

昨日は「映画不況」についてのエントリーを書いたが、それまえは黒人が主人公の

物語を綴っていて、どちらもコミカルな立場の黒人の大らかさなどを、またアフリカ

という黒人のルーツに暮らすニカウみたいな人からすれば、相当に過激で凶暴と

思われる人だが、アメリカにおいての黒人の地位をそれなりに引き上げたり、また

その存在を世界に知らししめた、キング牧師の穏健なやり方と違った過激でも、一

時代を突っ走ったマルコムXの自伝からの映画化が、この「マルコムX」である。


マルコム



http://jp.youtube.com/watch?v=2rfaiu8DbRs

「マルコムX」 九十二年公開作


主演は監督のお気に入りのデンゼル・ワシントンで、相当に研究した後が見られ、

過激な演説の巧みな話術とか、苦悩する姿とかは、良く似ている。

非暴力による黒人運動を提唱するキング牧師とは一線をかして暴力も厭わない

過激な運動を提唱・・・、ここらはマスコミのつけた印象が色濃く出ているが、それでも

自分の生い立ちからして、そういった過激な行動に打って出る下地はあって、見ている

客はその幼少期からの悲惨な生活ぶりを見せられると、マスコミ記事の印象が随分と

和らぎ、訴える事柄にある程度の納得が出来てしまう・・・。

要するに本音を言ってるだけなのだが、白人が書く記事にはバイアスが掛かり、どうし

たって、発言への理解はなく批判が表立つ。

ここらは日本のマスコミも似たようなもので、朝日新聞やあの「変態」の毎日新聞等の

記事にも批判が上がる正常な神経が日本にも現れたが、このマルコムXの時代は五・

六十年代であり、六十年にようやく黒人に公民権が生まれたという時代である。

権利が生まれたって運用がおざなりでは、ないに等しい・・・。

背景にそれがあるから、より過激な発言も飛び出す。

そんなマルコムの発言の一部を引用。


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「つまり、私たちはみんな黒人なのです。いわゆる二グロであり、第二市民であり、かつての奴隷です。

あなたはほかでもない、ただの元奴隷です。そう呼ばれたくはないでしょうが、しかしそれ以外の何者

だというのですか。あなたは元奴隷なのです。」
「『私が刑務所にいた』と言ったからといって驚かないでください。あなたがたもまだ刑務所にいるので

すから。それがアメリカということでしょう。アメリカは『刑務所』なのです。」

(マルコムX『草の根黒人民衆へのメッセージ』1963年11月9日、デトロイト)
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この映画でも「プリズナー」の語句が多用されているが、この思いがある限り戦いつづける原動力

と相成り、演説は巧みさもあって聴衆の人気を集め始めれば、そこはやはり民主主義という幻想

に包まれている差別国家は、「出る杭は打つ」的対象とならざる得ない。

また所属していた団体との決別にしても、あやしい宗教家のあやしい行動に自分の正義感が許さない

となれば・・・。

ただここで一応の権力者にとって、それを脅かす存在はそれこそ「目の上のたんこぶ」そのもので、

ここらにも、日本のあやしい宗教の権化に見られる醜悪な一面が覗くのは、どこにいても宗教の名を

借りた権力志向は根強いを物語っている・・・。

最終的にマルコムは凶弾に倒れ、志半ばで「あの世行き」となってしまったが、スパイク・リーは自伝に

忠実に、犯罪者となったいきさつも強盗でなく、白人女と寝たための深謀と捉えている。

ただここらは、刑務所での目覚めからすれば、これが幸いして「黒人活動家」の出来上がりなのだから

なんともないきさつでは在るが・・・。

この映画は生前のマルコムの姿も映し出し、またあのロス暴動をオープニングに使い、それから本編に

入り込ませるという憎い演出もほどこされ、黒人の立場は時が流れてもそれ程変化していないを、鮮や

かに印象付けた・・・。

余談だが、世界で一番嫌われている国の人は、このロスの暴動の時も、真っ先に打ち壊され憎しみの

強さが窺い知れた・・・。それは勿論、南朝鮮であり、黒人に嫌われる素養をもっているのが、このときの

暴動にあからさまに分かった・・・。


http://jp.youtube.com/watch?v=_xp7RDxhy10&feature=related

こんな動画もあった。

マルコムX (期間限定)
¥1,350                            といったところで、またのお越しを・・・。