文明と無縁の生活を送る人々の、その純真さと態度が文明を甘受する人々にとって、
コミカルで微笑ましい人々と映るが、震災や災害時に脆い文明はことサバイバルにお
いては、とてもかなわない人々を笑ってもいられない・・・。
と、災害時の都市の脆さを露呈すると、この「ブッシュマン」の文明を否定する態度は
ある一面、人間の人間らしい生活を考えさせられる。
http://jp.youtube.com/watch?v=_2604ohFR8g&feature=related
「ブッシュマン」 八十二年公開作
この映画の邦題が観客の見方を示唆しているようで、笑いが出てしまった。
原題はこの製作から脚本、監督をこなしたジャミー・ヘイズの実際は文明の
否定であろうが、ニカウの態度と表情からそれを感じることがいささか出来ず、
どうしても笑いが起こる。
アフリカの映画といえば、「ズール戦争」なども、文明の軋轢と圧政者に対する
反発と共に、先住民の意識変革をおって独立を勝ち取るといった物語だったが
この映画にも、不法投棄されたコーラの瓶を拾うことになったコカウの戸惑いと共に
その文明が入り込んだとたんに便利という利器に惑うことから、拾ったものの廃棄
に向けて旅立ち、そこでいろいろな文明の利器と遭遇し、また自分たちと違う人間にも
遭遇し、苦難のはてに神聖な場所より、文明を否定して瓶を投げ捨ててしまうまでを
映像化している。
この監督はこれまでも動物や砂漠を描いていて、自分が出演した「砂漠の冒険」の
ブッシュマンに助けられる飛行機墜落で砂漠に取り残され彷徨う少年の物語からも
分かる先住民の悲哀や平和な暮らしぶりに対して、敬意を払っているように感じる。
もっともこの映画がヒットしたために、より商業的に受けるコメディーとして続編を撮って
いるので、そこらになるといささか本作とは趣きも違ってしまって、はてなマークが付く
にしても、災害時において文明を甘受する人々は、サバイバルを生き抜けるだろうか
なんて思ってしまう。
当然のように電気があり、食料があり、水があり・・・。
それらが手に入らないとなれば、自分でそれらを作り出させるか、あるいは限定的な
生活に馴染めるか・・・。いささか自信もないが、そんなこともこの映画は考えさせる。
という感想は、「クールランニング」のジャマイカで、ボブ・マーリーを取上げ、このマーリー
がアフリカ系黒人と白人のハーフであったに思い至るからである。
どちらの世界にも属さないために、幼少期からさびしい思いをしたマーリーの生い立ちと
このブッシュマンの文明を拒否し、交流を拒否して生きる生き方は、自分の運命を社会
に委ねることなく自己完結できるとも・・・。
しかるにそんな社会からはみ出て生きる人にとっては、一概に不便な生活でなく、生き方
として「憧れ」を抱かせるかも・・・。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。