北京オリンピック短距離は、「欽ちゃん走り」の黒人が世界新で話題をさらっているが、
女性の短距離も表彰台を独占するというジャマイカの快進撃をテレビで見れば、すぐ
に思い出すレゲエのボブ・マーリーにブルー・マウンテン、そして南国なのに冬のスポ
ーツに興味を持った若者の冬のオリンピックを目指す「クール・ランニング」を思い出し
てしまう。
カナダ、カルガリー・オリンピックを目指す雪を見たことない若者達の奮闘記は、純粋に
スポーツを楽しむ姿勢が、心地良かった。
http://jp.youtube.com/watch?v=O9IxMuBoxdI
「クールランニング」 九十三年公開作
実話を基に南国の冬季オリンピック挑戦という、ドラマとして笑いあり涙ありの
展開は容易に想像出来るが、ジャマイカの何が何でもオリンピックに出たい
感情に、陸上短距離へのジャマイカ人の思いが詰まっているようで、スポー
ツがステータスの他に生活を支える職業として扱われることに、貧しく国の
手っ取り早い成功法を見た思いがするが、それに失敗した人が、冬季オリン
ピックに照準を修正するのに、金メダルを取った人物がいる、ここらはやはり
そこに執着が見えるが、それが簡単でないのに、流石は楽天的生き方・・・。
と、まぁ映画は実話を相当に脚色して、より面白く設定するからどこまでも陽
気なジャマイカンとして描いている。
それでもレゲエの旋律には、それを納得させる音調が見て取れるが、レゲエ
を広めたボブ・マーリーの曲には、そんな陽気な音調とは全く違って、ほとん
どが社会的不満や庶民の生活の苦しさを歌ったものがほとんどで、キューバ
のチェ・ゲバラが徹底した反攻で革命を成功させるのに、マーリーは歌で庶民
の憂さや癒しを施していた・・・。
そんな根底がこの映画でも、やはり見えてくるのが初めてのオリンピックに浮
れる選手達が、他国の人間の真似を始めて、自分たちを見失い予選で最下位
に甘んじた時、「俺達はスイス人ではない、東ドイツでもないジャマイカの人間
なんだ」と、自分達のアイデンティティを取り戻す場面が出てくるが、そういえば
いい年寄りが「偏狭なナショナリズム」と北京オリンピックの日本選手に対して
批判していたが、あまりに年を取った割りに何も分からないスポーツ・ジャーナ
リストの哀れさを感じたが、いみじくもこのジャマイカの選手の言葉を送って
やりたい・・・。
スポーツに政治を持ち込みもなく、このジャマイカの選手達は最終的にスポーツ
の楽しさと真剣に取り組む姿勢を取り戻し、それに対してすべての人が優勝劣敗
でない清清しさを感じて、絶賛される・・・。
と、まぁ、笑いあり涙ありのスポーツを通した人間的癒しを表現した映画だった。
ただこの映画評をネットで調べると、レゲエへの陽気な音調と陽気な人々の笑い
ってな、ところに集約されるものが多いが、レゲエの音調と歌っている内容とは、
相当にイメージは違っているのであり、ジャマイカの陽気さの陰に壮絶な社会不安
と貧困を隠し持っているのも、知っておかなければ・・・。
「女よ、泣くでない・・」
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。