暑くなると心身共に涼みたい、それも心底「恐怖」を感じる映像には、「肝を冷やす」のに
うってつけだ。
昔から日本には伝統的に「怪談」ものという映画の範疇があり、あの「東海道四谷怪談」の
「恨めしや、伊衛門殿・・・」や人の怨念・動物の怨念が映像となり、それに共感出来る日本
人には、スプラッターでなくとも、えらく「涼」を感じられ背筋が震えるのだが、あちらは「悪霊」
というカテゴリーに、様々のものを入れ込み、血の惨劇・そして悪霊に乗り移られた悪魔の
形相に恐怖を与えるから、映像は凄惨で「逃げ場がない」状態を生み出す・・・。
それが生き付かせぬ展開は、やはりコースターの怖さと似ている・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=u8Bi9mGv1J8
「死霊のはらわた」 八十三年公開作
http://jp.youtube.com/watch?v=pegSpP5plA8
「死霊のはらわたⅡ」 八十七年公開作
http://jp.youtube.com/watch?v=nm2EoFbvNn4
「死霊のはらわたⅢ」 九十三年公開作
この映画は同じ監督により、綴られた三作にて完結する「ヒーローもの映画」という
ことらしいので、こういった並べ方をしたが、低予算の一作目からはそれこそ速射
される「怖さ」の演出が、作品を重ねるごとにコミック、それも多分にお笑いを含む
へし変貌していき、それこそジェツトコースター並の怖さの連続に肝を潰した観客
をがっかりさせた。
で、良く一作目のヒットから劣化すると、それへの言い訳がはびこるが、流石に当
たった監督ともなると、パータン化、固定化されるのを嫌うものだろうから、ファンタジー
に逃れたという詭弁は使えず・・・。
もっともこの「死霊のはらわた」も一作目で続編的なものは、解明編しか残っていないし
で、無理があったのは確かだと思う。
それにしてもこの一作目は、凄まじく映像が秀逸で、音とカメラワークと、怖さを最大限に
強調して、コースターに乗った客が途中で「後悔」をしても、そのまま突っ走る勢いが感じ
られ、見終わった客の反応は「もう二度と乗りたくない」か「面白かった」の二つに分類され
強烈なインパクトを観客に与えた。
というのも、この映画を見たのはオールナイトで、こういったホラー大好きのバイトの女の子
と仲間内五六人で、居酒屋でホラーで盛り上がり、その勢いで映画館に入ったからだ。
勿論、私は後悔組で「吐きそう」になるのを堪えて見ていた。
いつになっても夜は明けず、どんどん悲惨になっていく小屋の中、飲んだ酒が喉に逆流は
するは、館内の悲鳴は耳に響くはではコースターに酔ったように、映画が終ってほっとした
のを覚えている。
だから目を輝かせて「面白かった」とはしゃぐバントの女の子を取り囲む、ゾンビと化した顔面
蒼白の私達からは「吐きそうになった」の恨めしい言葉が相次いで、酔いも完全に醒め、家路に
着いた。
その強烈な鑑賞記憶からすると、続編のいい加減さは腹が逆に立ってくる。
もっとも予算のない新人にすれば、どうすれば受けるかとかより恐怖を煽り立てるにはに神経が
割かれてくるから、最少人数でもっとも効果をあげるに血眼だからこその苦労が見られるが、
続編では金も掛けとなると、おなじパターンでは持たないのも・・・。
これもスピルバーグの「激突」同様、低予算の傑作ではある。
- ダークマン (初回限定生産)
- ¥1,350
「死霊のはらわた」はDVDの作りが今一
なので、こちらを紹介・・・。
といったところで、またのお越しを・・・。