人権で思い出す「橋のない川」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

今日、六月一日は「人権擁護委員の日」である。

昭和二十四年六月一日、「人権擁護委員法」が施行されたのを記念して、

また人権に対する啓蒙を広めるため・・・。

そしてその昔は、日本にも酷い人権侵害の差別が存在した。

「部落差別」というもので、この「橋のない川」もその部落差別を正面から描いた

作品である。



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この画像は、九十二年の公開作のものであるが、それより以前に今井正監督作品がある。

そしてそちらの方が、原作「住井すゑ」の内容を良く表していたように思う。

被差別部落の誠太郎・孝二兄弟の成長物語であるこの物語は、題名にあるようにその地区は

まるで隔離されているかのように、一本の橋によってのみ、他地区と接触していた・・・。

映画自体は、原作をおったものになっていて、原作を読んだこちらは、自分のもった感情と違う

表現があるとやはり・・・、まぁ、映画には往々にして原作と映画にギャップが生じるものである。

悲惨だ、悲惨だ、しかし原作を読む限りにおいて生活するものはそこで精一杯生活を営んでいて

遊牧民の暮らしを知らない人にとっては、差別が酷いなのだが・・・。

国の中にいて地ベタに住処が造れる・・・。それと国を持たず流浪の民となった人々では・・・。

と、比較をしても始まらない。この映画は水平社という生きている人間は平等であるという趣旨で、

運動をはじめるまでの少年の成長記録とも取れる。

この水平社の運動が全国に拡大して、それなりの地位を獲得して国による事業も拡大し・・・。

と、明治・大正時代のひどい扱いに抵抗した人々の記録・・・。

部落差別を扱った著作・映画は、この他「地の群れ」という長崎のものもある。

そして歌もある。

http://jp.youtube.com/watch?v=Y5JXZ301V1k

「手紙」 岡林信康


これは東監督作品、画像のやつだが、それに沿ったような歌詞である。


http://jp.youtube.com/watch?v=t2yVk2a9Hq0

「チューリップのアップリケ」

こんな曲も岡林は歌っていた。だけに当時の学生は「人権」に敏感に反応するのだが、その差別が

今では逆になったようなものもある。 それを転載する。


橋は架かった、しかし渡る気のない人々

変な表題だが、「橋のない川」をお読みの人はお分かりいただけるかと・・・。
すっかり話題に出なくなった語句を最近見つけて・・・。


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この画像は、映画「橋のない川」の一場面です。
で、「橋のない川」とは住井すゑという女性の書いた小説で、橋をシンボ
ライズした「被差別部落」の若者の言われなき偏見と差別に憤りながらも、
逞しく生きる少年二人の成長の物語・・・。


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明治時代の封建制度が色濃く残る奈良の地を舞台にした畑中誠太郎・
孝二兄弟の成長を描く長編小説なのだが、先ごろ話題になった「利権を
食い物」にするとんでもない「やから」がいたが、同じ地で先人達はそれ
こそ血の滲む思いで、民権運動に邁進し、差別撤廃そして「基本的人権」
を勝ち取った。
このときの思いは、「同じ人間」なのに、同じ扱いを受けない人々の魂の
叫びで、映画になったものもなかなか良かったのだが、時代が進みそれに
伴って経済発展を果たした日本で人権がクローズ・アップすると共に、住
宅に付いても事業にも「被差別部落」対策として優遇措置が盛り込まれて
いく。そんな中に「中小企業高度化資金」という都道府県が窓口の政府系
貸し付け制度がある。その中に同和対策の一環として「地域改善対策枠」
で貸付を行っているものがあり、そのほとんどが「不良債権」と化している。
九月三日の「朝日新聞」で取り上げていたものだが、いまはウェプ上には
なかったので、何処かにあるのではと探したところ下のサイトに・・・。
http://osakasi.iza.ne.jp/blog/entry/294936/
これで見ると、高度化資金全体の滞納率が十七パーセントに対し、この枠
では七十二パーセントが「不良債権」化しているものだ。
これはある時点での統計であり、ほとんどの県で貸付先企業は破綻し、
不良債権でなく整理債権、ようするに「とりっぱぐれ」の貸付金である。
で肝心の金額は、このサイトの記事をお読みいただきたいが、では債権処
理はどうしているかというと、記事の最後に書かれているように、時効等で
簿外処理、あるいは議会に諮って「債権放棄」している。
で、この貸付金は勿論、税金である。それでありながら処理は再び税金で
穴埋めすることになる。
これが一般の企業であるなら、審査基準が厳しくそして保証協会付きの融
資となり、取り立ても厳しいしまして簡単に「不良債権化」するような企業に
は融資が下りないものだ。
同和に対する優遇措置は、その他にも住宅事業でもあってその関係であの
「人権を盾にした企業」も一度は「地名便覧」騒ぎで咎められている。
もっともそれを利用して営業を掛けようと試みたものだろうが、その頃は同和
に在日が巧みに擦り寄っていた。という構図・・・。
この中小企業高度化資金の一割を占める「枠」でさえ、そのほとんどは返す
気のない「貰った金」状態・・・。
まぁ、こんな記事がなくとも、この優遇ぶりと返済の甘さは身近で感じている。
何しろ企業を立ち上げ、金を借りまくる、そして返す気などなく夜逃げ・・・。
債権者は多少の金では泣き寝入り・・・。
で、もっと身近では「パチンコ」狂いの親が、それをしたいがために義理の息
子の経営している会社名義(勿論同和地区)で、銀行から「枠」を使って金を
引き出し後は「不良債権」化するだけ・・・。
会社は勿論倒産、で借り入れ名義は義理の息子の会社、それで離婚でお
ん出される。で、自己破産するのは義理の息子、母親は自宅でのうのう・・・。
と見るも無残な状況に義理の息子はなってしまったが、もとより返す当ては
ないで、自己破産だから債権放棄・・・。
めでたく義理の息子は肩の荷が下りて、ひとりもくもくと生きていく・・・。
これの穴埋め、勿論「枠」の損である。要するに税金・・・。
これが表題の「橋を掛けたが、渡る気のない人々」と相成るわけだ。
「橋のない川」を書いた住井すゑさんも、懸命に「差別」を訴えたくて書いたも
のだと思うが、「基本的人権」ですんなりと行かなくともある程度は、水平社
の唱えた平等意識は根付いたと思うが、競争原理からいえば企業を立ち上
げ優遇貸し付けを受け、企業努力をすれば、いや中には実際している人も
知っているし、それに頼らず経営している人もいるのだが・・・。
こんなところを見ても「利権」の味は、しゃぶり続ける構図が、この「同和」に
限らずあちらこちらに散見出来る。
長野県では田中康夫が知事になり「撤廃」してしまったが、またぞろ「復活」
なんだろうなぁ・・・。
そして国政では、老人が登板で「改革」の名のもとに近隣諸国との「友好」が
予算に組み込まれ、また「失われた十年」が・・・。
で、次はもっと過激な「友好」を推進する党が政権なんてものを奪ったら、「失
われた日本」になりかねないと、気持ちが落ち込むのでここらで・・・。


と、転載文を読んでも、この映画の出来事は、もう過去のことである。

しかし一度、味をしめてしまうとなかなか手放せない。

で、「人権擁護法案」が再び急浮上して来ている。

この六月一日の「人権擁護委員法」では駄目だと言う訳である。

しかし「人権」が日本国民を差別するようになったら、さて「貴方はどうする?」

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                      といったところで、またのお越しを・・・。