巨匠もこける時代の流れ「砂丘」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

難解な映画という代名詞が付きまとう監督にミケランジェロ・アントオーニも

入るのものだろうが、前作「欲望」でも、幻想か現実かの境目がはっきりせず

事件はあったのか、なかったのか・・・。

それ以前のものでは、肉体の疼きと精神の満足とかに、いつもながらに埋ま

らない溝をとか、観客に考えさせる効果もあって、評価も高かったが・・・。


砂丘
http://www.youtube.com/watch?v=E6RxJdfP7AI

「砂丘」 七十一年公開作

七十年に入っての監督作品が、この「砂丘」である。

男女の不毛を謳いと、これまでの路線に新味を加えるべく、ロック音楽

を取り入れ、アメリカン・ニュー・シネマらしい作りで、主人公はアッパラパー

の女に、学生運動の闘士という設定の男なのだが、これまでの生活感のある

男女というヨーロッパ的良俗からはみ出す女と違って、最初からアッパラパー

の女を当ててしまうから、砂漠の不毛も、「そりゃ、当たり前だろ!」そこが緑だった

砂漠とはよばねぇ・・・。

なんにしても設定は無理全開で、とってつけた音楽というより、音楽担当したピンク・

フロイドも怒る、勝手に演奏時間を削る作業とかでは、「あれはクソだ」でロジャー・

ウォーターズも罵倒するだろう。

それでも無理めの爆発シーンが最後に張り付いているのだが、ここらは音楽から

影響された幻想的シーン・・・。要するにピンク・フロイドのプロモーション・ビデオで

見ている者達は、爆破する必要って???、首をかしげる。いやいやこれこそ幻想的映

画の真骨頂で、唐突的発想は爆発だぁ・・・。

で、この映画を取り上げたのは原題が「ゼブラスキー・ポイント」ってなものだから、

ポイントという接点が「バニシング・ポイント」と同じで、何処かに変換点が人の行く死

にには在るのもだから・・・。

とはいえ、当時も見ていて「トンデモ」さんの無理な思考が、プログレ・ロックだったら

幻想的で、観客が魅了されるとでも思ったのか・・・。

第一ピンク・フロイドだったら、その演奏全部、またグレティフル・デッドの「ダーク・ス

ター」だったら、二十三分全部を使わなけりゃ、ジェリー・ガルシアのギターのインスピ

レーションは伝わってこない。

何しろあの曲はライブ命で、アメリカ・バンドのマリファナでラリッての即興が素晴らしい

のである・・・。

まぁ、当時のロックを取り入れ、難解な男女の心情を砂漠の不毛にかけたのだろうが、

これまでのヨーロッパ的、生活感ドップリの不毛とでは、明らかに失敗である。



more001


http://www.youtube.com/watch?v=M8b_EoNnOiY&feature=related

「モア」 六十九年公開作


http://www.youtube.com/watch?v=gjcOZuVQdDQ&feature=related

「ピンク・フロイド」  モア、サウンド・トラック


ピンク・フロイドが音楽を担当言えば、こちらのものの方が、それらしいイメージは

出ていた。

ドイツ青年とアメリカ娘の避暑地での、麻薬どっぷりの愛し合いに、バックから幻

想的音楽としてピンク・フロイド・・・。

ただ、物語もありきたりで、音楽との相乗効果は残念ながら・・・。

ただ新人監督が、一生懸命、男女の不毛と麻薬の幻覚と、それによっての破滅と

当時の享楽主義を批判の目でってのには、こちらの方が出来は良かった。


と、当時はプログレ創成期みたいで、幻覚・幻想的というサイケが持て囃され、そこに

便乗する映画は多かった。

そして今でも評価の高いピンク・フロイドと、今では誰も知らないグレーティフル・デッド

だが、演奏技術、そのライブ・パフォーマンスはデットであったのである。

イギリスのバンドとアメリカのバンド、そこには後先の考えのないアメリカの生き急ぎの

麻薬への傾倒が見て取れる。

デットのアルバムでも、日本では評価が低かったライブ・アルバムが、何より一番聴き

応えがあるもので、ここでのダーク・スターの幻想は、計算し尽くされたフロイドの音楽

とは一線をかす・・・。


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                                といったところで、またのお越しを・・・。