孤立無援で戦い抜いた「アンタッチャブル」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

触れない人、ぶれない人という意味に捉えられる「アンタッチャブル」という

言葉を題名にしたテレビ・ドラマがあった。

アメリカの財務省所属の調査官エリオット・ネスをリーダーとした人々のことで

時は「禁酒法時代」のシカゴが舞台である。

この法律もそもそもおかしなものだが、ただ密造を取り締まるのはそれなりに

理にかなっている。

密造酒が暴力組織の資金源であり、その元締めはアル・カポネとこの地方ば

かりでなく、手広く犯罪行為でのし上がった者。

犯罪組織といっても、そこは知能犯的側面が多く、リベート・脅し・下半身醜聞

で、役人も議員も凋落してしまっているからやりたい放題、そこにそれらが通用

しない人々が少人数で果敢に挑んでいく・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=xIF_WdPUBFo

「アンタッチャブル」 八十七年公開作

映画会社の何周年かの記念映画として製作されたもの。

監督はブライアン・デ・パルマで、エリオット・ネスをケビン・コスナー

そしてショーン・コネリーも老齢の役柄を渋く演じている。

というか、コネリーのいるいないでは、映像が相当に締まらなくなる

という存在感があった。

そしてこの映画では、やはり音楽がより緊迫感を高めていた。

エンリオ・モリコーネのあの「夕陽のガンマン」でも使われた懐中時計

の刻む音と、「戦艦ポチョムキン」からのアイデアをパクッたような駅の

階段落ちの乳母車に、目的の人物を待つネス達の緊迫感を、いやが

上にも盛り上げていた。

もっともオールスター・キャストでの映画というのは、どうしてもミス・キ

ャストがつき物だ。

それのもっともな者がアル・カポネを演じたロバート・デニーロだろう。

いかに尊大に構えても、どうにも風格が漂わないし悪人を演じているに

しては、どこかお人好しな感じが滲んでしまって、見ていて微笑んでしまう

まぁ、それでもコネリーの演技に引っ張られるようにコスナーのネスも、

それなりの演技ではあった。

監督したパルマの演技指導もあるのだろう。それなりに見れる映画にはな

っていた。


http://www.youtube.com/watch?v=jHAZWdUcn9A

テレビ・シリーズ 「アンタッチャブル」

こちらは上のもととなったテレビ・シリーズ、ネスをロバート・スタックが演じ

てシリーズは大ヒットしたため、ネスのキャラクターはスタックそのものとな

り、「奥様は魔女」のエリザベス・モンゴメリー同様、このシリーズ以外では

パットしなかった。


実在のネスは、FBIへの登用を希望したが、カポネを逮捕してしまったため

当時の長官フーバーに嫌われ、このシカゴ以上の活躍を見せることはなか

ったと、「アンタッチャブル」も、諜報・醜聞で地位を気付いた権力者には、目

障りな存在としか映らなかったものなのだろう。

ここらにその事実を知った上で見るから、どこか社会正義が小さくたかが「密

造」となり、感銘が萎んでしまう作用を果たしてしまう。

もっともその悲哀を感じつつも、犯罪者を追い詰める行動には賞賛はあってし

かるべきものだろう。

何しろ少人数対無法の限りを尽くすアウトロー達である。

このフーバーという悪徳な役人は、丁度中共中国のやり方と、いや中共が学

んだと見るべきかもしれないが、有力者のプライベートを徹底的に探り、それを

材料に自分の地位の安泰を図るという、どこにも社会正義を実現とかの思惑は

ない。これまでも書いてきた権力者の欺瞞と醜い保身が透けて見える。

「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」青島の科白は名

言だろう・・・。


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                                 といったところで、またのお越しを・・・。