黒人女性の輝きが眩しい「ドリームガールズ」「奇妙な果実」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

昨年、ダイアナ・ロスとシュープリムースを題材にしたミュージカルを

映画化した作品が公開された。

題名を「ドリームガールズ」という作品だが、これは黒人がアメリカ社会の

それもショービジネスで台頭してくる時期の自立すべくモータウン・レコード

の軌跡をも追った映画であった。

その主人公はワンドリームを追って華々しく踊り出てきたかのようだが、そこ

には売り出してに関わる周囲の思惑に翻弄される軋轢と失意・・・。

そして歌を諦め女優へと、そこで出会った「奇妙な果実」・・・。




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http://www.youtube.com/watch?v=1yivhLmzOcI

「ドリームガールズ」 〇七年公開作

主人公をビヨンセが演じ、三人組の確執も赤裸々にワンドリームの

はずが、いつしか憎しみにも似た感情へと・・・。

「ドリームガールズ」の題名が皮肉に見えるが、しかしショー・ビジネス

での成功を夢見る黒人という視点からすると、納得するものなのだが

その一方で、音楽における商業主義がだんだん批判を浴びてくる時期

であり、白人と黒人、いやロックというものが台頭しだすと、価値観が一

変し、リズムアンドブルースの歌の内容がほとんど恋愛ものとなると、

一気に飽きられてくるのだ。

その少し手前ででの成功なのだが、社会的立場がそう考えると、やはり

黒人には社会が狭かったという感想が出てくる。

何しろ懸命に下積みを経て歌に取り組むこういった人々と、歌が下手で

ちょっといいメロディーを作り、さっと一晩で有名になってしまう白人シンガー

では、やはり・・・。

ただこのモータウンの頑張りは分かるのであるが、そこにあるのは歌を広め

たいでなく、金儲けのという現実的思惑が、楽しい映像の裏に隠されている。

と、ひねくれは歌にうっとり出来ないし、売り出しとはこういうものかの裏側を

知っただけでもと思える。

そしてモデルとされたダイアナ・ロスが、主演したのが「ビリー・ホリディ物語」

というところになって、シュープリームス時代の出来事は知らなかっただけに

より、このビリー・ホリディには、鬼気迫る演技だと思っていたのが、こういう

伏線があったと納得出来た・・・。

で、ビヨンセがダイアナ・ロス、そのロスがびりー・ホリディを演じたものが

違ったサイトに掲載したので、いつものことで加筆転載・・・。


伝記映画というものがある。
著名な人物を、出版物等から掘り起こす再現ドラマだ。
そんな中に「ビリー・ホリデイー物語」も、入るだろう。





http://www.youtube.com/watch?v=JbkmB-nf4DU

「レディ・シングス・ザ・ブルース」 七十二年公開作


http://www.youtube.com/watch?v=h4ZyuULy9zs&feature=related

「奇妙な果実」 ビリィー・ホリディ


ストレンジ・フルーツ(奇妙な果実)は、実に悲惨な表現である。
縛り首になった黒人が、吊るされている様を見立てたものだ。
結局黒人の原点には、すべて差別される側の論理が否応なく働き、

表現の中にそれが滲んできてしまう。
それで居ながら、資本を持った白人の力がなければ自分の音楽性

を広めることも出来ない。
後には黒人がある程度の資本を身につけ、白人の力の及ばない形で、

音楽業界に入り込んでいった人も・・。
その一つにモータウン・レコードがあり、そこの人気シンガーダイアナ・

ロスが、この映画の主役ビリーを演じている。
さすがに先駆者を演じる大役に、ダイアナは相当な決意と覚悟を持っ

て臨んだのだろう。見事にホリデイーの苦悩も、喜びも演じきっていた。
同じような境遇「ラブ・チャイルド」というシュープリームスのヒット曲があるが、

一歩間違えばその境遇に落ち込んでいたかも知れないダイアナだけに、身

篭の身体で薬中毒の役どころを、それと感じさせず、禁断症状の演技のため

煙草をかなり過剰に摂取し後、すっぱり断ち切ることで、その表情を作り出し
たのには、勿論パンフレットの解説で知ったのだが、執念の主演だったのを、

改めて思い知る。
これを書く気にさせたのは、全く予期せぬところで思い出したことがあったからだ。
それはホリディが「レディ・ディ」と呼ばれていたそのことに起因する。頭の片隅に

その言葉が、そして何の拍子にかあれっ、この題名の曲が、確かあったのを思い

出したのだった。そのことは、また違ったエントリーで書こうと思うが、演じていた

ダイアナの目の力には、感服する。
思えばアフリカ難民救助ソング「we・are・the・world」の収録現場での、ダイアナ・

ロスは凛とした気品に満ちていた。
でしゃばる出なく、控えめなのにオーラが・・。
マイケル・ジャクソンの軽薄さとは相対していて、同じ黒人なのに、誇りを持つものと、

後ろめたさだけの人の違いが・・


こうやって二作品を見ていて、ビリー・ホリディの時代の黒人の社会的立場と、その後

の人々の社会的立場は、相当に違ってきている。

奴隷から始まり、徐々に差別との戦いとアメリカ社会での立場は向上した黒人である。

これもある面、アメリカのいや民主主義の国ならではという思うも・・・。

過去に囚われず、前を向いて・・・、謝罪と賠償の特アの連中とは違うなぁ・・・。

ダイアナ・ロス/永遠のイフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー/TOCP-53438
¥1,850



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                     といったところで、またのお越しを・・・。