老齢の心の触れ合い、「ドライビング・ミス・ディジー」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

老齢者の気持ちがわかるのは老齢者、またそこには欲もなく詭弁もなく

淡々とした穏やかな日常が繰り返され、記憶が薄れようとも、「ふれあい」

の感触は心に浸透していく・・・。

と、今は「後期高齢者医療制度」なる珍妙な法律で、「楢山節考」が話題に

上るが、こういった良作の静か映画に、制度を考える人は鑑賞を勧める。

さすればネーミング一つとっても、とても不遜なものであるのが、理解され

礎えの大先輩と敬う気持ちも溢れてくる・・・。



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http://jp.youtube.com/watch?v=dYm1Sir3idQ

「ドライビング・ミス・ディジー」 八十九年公開作

リンクしてあるのは、タクシー・ドライバーとのコラボだが、編集する

労力はかうが、狂気とほのぼのは少し無理がある。


http://jp.youtube.com/watch?v=qdThqTY8YBg

こちらは音楽のハンス・ ジマーの曲の動画

この映画の映像にほのぼのさを感じるのは、この音楽も強く拘わっている。

派手さのない優しい旋律は、心をほっと和ませてくれる。


http://jp.youtube.com/watch?v=f5Iux70kM-4

映画をヒントにした、微笑ましい笑える動画。

とってもお茶目なおばさんの、悪戯が笑える。


この映画、老女と老人の男のわだかまりの中から生まれた友情を淡々と

描いて、その中に黒人とユダヤという少数民族同士でのわだかまりと、年老

いていく自らの身体と心持が、いつしか温かいもので溶かされていく・・・。

もっともユダヤの教師だった老女にすれば、やはり黒人は召使いとしての

見方が何処かに残り、それが嫌味たらしい言葉となってでてしまうが、

それを丁寧に受け流すモーガン・フリーマンのドライバーの忍耐強さと、慈愛

という聖人並みの優しさが、老女のわだかまりを溶かしていく・・・。

と、監督も気づいていたのかどうか、何処かにキリスト的立ち位置をこのドラ

イバーに与えている。

これは先に紹介した「ジャイアンツ」に出てくる黒人の召使い女性と、何とも似

通っていて、主張をしない従順な人として描くものなのだが、そしてその魅力で

頑なだった心もと、ハートウォーミングな仕上がりと相成る。

ここで見せる黒人のへりくだった態度には、こちらはどうしても白人の偽善的博

愛を感じてしまう。

しかし一方で白人は搾取の歴史を歩み、そしてユダヤは迫害から逃れた後は

いつかきた道を忘れ、金にもの言わせて政治を曲げてきたという歴史もある。

それが共に老齢になり、垣根を取り去ると、何ともほのぼのした雰囲気を醸し出

す。これも一種のメルヘンだが、そのメルヘンを実行させる気持ちは幼い時の教

育へと行き着いてしまう。

そこで「後期高齢者医療制度」なのだが、政策立案の段階からこういう教育を受

けより博愛へと舵を切る人間がいれば、他の予算を削り、耳障りのいい「福祉国家」

として、その名を世界へ発信出来たものではないかと思う。

負担というが、はっきりしている公務員給料の高さからいって、一割カットするだけで

こんな制度を作らなくても、国はおかしくならない・・・。

官僚・公務員もいずれは年をとる。その時、金で買えない「心遣い」を望むのであれば

今こそ自らの身を切って、「奉仕」するのが公務員という「公僕」の役割だろう。

この映画は、そんな優しさと老齢に対する尊敬を感じさせる映画だ・・・。

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                      といったところで、またのお越しを・・・。