この超攻撃的ヘリコプターは、フォルムも痺れ登場の仕方も何しろいい
もっとも映画のストーリー自体は、主演のロイ・シェイダーがいなかったら
さて、どんだけぐずぐずの映画になったやら・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=sd3lDhyM21M
「ブルー・サンダー」 八十四年公開作
テレビ映画というジャンルがアメリカで持て囃され、それが記録媒体に
書き写され販売されると、大変なヒットになるというのは「二十四時間」
や古くは「Xファイル」もっと古けば「ツイン・ピークス」なんてのもあった。
その「ツイン・ピークス」の陰に隠れるように製作されたものに、この「ブル
ーサンダー」もあったのであるが、同時期に下の「エア・ウルフ」の影響も
あり番組はぽしゃってしまった。
と、映画の評判からテレビドラマ化してみても、そりゃそれなりの筋立てと
俳優を用意しなけりゃ、いくら「ブルーサンダー」のヘリコプターでも無理
ってものである。
この映画は、ストーリーは陰謀を暴き、それによる対立構図で対決がヘリ
コプターという、あの「華麗なるヒコーキ野郎」と似ていて、複葉機が高性
能ヘリコプターに置き換わったってなところで、古きよき時代の「西部劇」
的趣きがある。
だけにこちらは、ストーリーを度外視して楽しめた。
また撮影が「未知との遭遇」の人だし、登場の仕方もバトルも秀逸の出来に
なる。もっともここでロイ・シェイダーの顔の表情演技と存在感がなかったと
したら、さて映画が締まったかとなると、やはりどことなく哀愁を帯びる表情も
設定のベトナム帰還兵とその上官で、他の役者ではとも思える・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=TuYr5XA1FiU&feature=related
「エア・ウルフ」 八十五年から始まったテレビ・ドラマ
役者がマイケル・ビンセントに、アーネスト・ボーグナインである。
とてもテレビでは豪華すぎる俳優陣であり、その上音速ヘリコプター
の奇抜なアイデアである。
ヒットするだろうが、単発で製作したものがあまりの評判にシリーズ化
されるという、製作側としては余り有り難くない側面もあったのではない
かと思える。要するに金が掛かるドラマで視聴率よりも金が掛かってい
ない番組で視聴率がいいのが、製作側の思惑だろう。
それに比べてテレビ版の「ブルーサンダー」は、かなり見劣りする出来で
これでは、十数話で打ち切りになっても仕方がない。
というか、もともとテレビとはそういうもので、良質なものがいいとも限らない
世界(ブルーサンダーはその良質の基準も踏み外していたが・・・)だ。
ブルーサンダーの物語設定がぐずぐすといったのは、どこかにあった話を
無理矢理おっつけた監督がただの「ディスコ映画」をヒットさせたからといって
アクション映画も巧みな演出とはいかないというところだ。
ただ、ブルーサンダーのヘリコプターのバトルも、登場シーンものちのち参考
にされている。その点の演出は流石である。
にしても、都会の高層ビル群にヘリコプターが此れほど溶け込むとは、その驚
きは新鮮だった。
合成であるのは承知でも、その高層ビル群でのヘリコプターとジェット機のバト
ルは、アイデアの勝利である。
にしてもロイ・シェイダーの正義感溢れる、警察官のイメージを引きずる演技は
いい、で、この後の映画でリタイアした老人役とかで、頑固親父を演じさせれば
また違った魅力というか、いいものは普遍であり、時代の変化にも色あせない
ものなのだ的設定の、たとえば「白い犬とワルツを」みたいな作品も、見てみた
かった・・・。 そうすればいい年の取り方をしてるなぁの、思いに耽られる・・・。