大ぴっらに派手で、それこそ映像の真中にでんと構える存在でなく、
たとえ脇にいても、その存在感がきらりといぶし銀のように鈍い光を
放つ役者、そういった存在としてロイ・シェイダーは、見た映画の中で
記憶されている。
そのロイ・シェイダーが亡くなったという。
で、主役でなく脇を固める演技の、見事な存在感を披露した作品を
上げてみたい・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=IUdr1LdCsq0&feature=related
「フレンチ・コネクション」 七十一年公開作
ジーン・ハックマンが一応の主役をとなるが、この少しアウトロー気味の
刑事に絡む相棒がロイ・シェイダーで、この映画までは共にそれ程重要な
役をこなしていなかった。
監督のフリードキンのお眼鏡と言うより、新人監督特有の資金難から演技
がうまくギャラの低い人を選抜ってな、ところで選ばれたのではと推察出来る
ハックマンもそれまで「俺たちに明日はない」でも、少々粗暴な兄役で存在感
自体ほとんどない役立った。
それがここではその粗暴的言動に正義感が絡むと、今までにない刑事像を
作り上げていった。
そしてそれに協力するロイ・シェイダーも、ハックマンにない知性的言動で
いぶし銀的輝きを放っていた。
http://www.youtube.com/watch?v=ucMLFO6TsFM
「ジョーズ」 七十五年公開作
「フレンチ・コネクション」の演技が、スピルバーグの目に止まったのか
このパニック映画において、避暑地の警察の署長役で主役扱いである。
もっとも扱いとしているのは、ここでの主役は「鮫」であり、その他の人間
は、その恐ろしさを脇から固める脇役と捕らえられるからである。
ジョン・ウィリアムスの音楽と共に、主役の鮫は自由に泳ぎまわって、
人々の恐怖の対象となっていく。
その恐怖の大きさを際立たせる役において、ロイ・シェイダーの気配りの
行き届いた演技が光っている。
何しろサングラスをしていても、目の角度とその表情から余暇を楽しむ
人々の安寧を静かに見詰め、危機が訪れての驚きの表情は、そこにいな
いものを最大限に、いると観客に知らしめる演技である。
人の死の哀愁を帯びた表情と、悪の成敗における苛烈な憎しみを持った
目の演技は秀逸であった。
http://www.youtube.com/watch?v=-f7uyb6kRLk&feature=related
だからこそ、こんな追悼の動画が、数多く投稿されるのだろう。
もっとも、ロイ・シェイダー、私にはこのニ作品も印象に残っているが、
これよりも印象深かったのは、実は「ブルー・サンダー」なのである。
それについては、後日書いてみたいと思う・・・。
というか、ロイ・シェイダー、折角いい役者だったんだから作品を選べよ
ってな、気持ちも持ち合わせてしまう。
何しろ凶暴な鮫の引き立て役、戦闘ヘリの引き立て役でない、シリアスな
演技が出来るのに・・・、残念である。 にしても初老といっていい年代での
いぶし銀は、安心してみていられたので感謝・・・、そして冥福を・・・。
といったところで、またのお越しを・・・。