老齢になり社会から疎外された者達が、どう生き、そして死んでいくか
ここに描かれるのは、父と娘の打ち解けられない蟠りを周囲のものが
それを溶かしていく、老齢の者達への限りない慈しみと、尊敬の念が
夕暮れ時の別名で、ほんわかと描かれている・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=tvHTLc02XUY
「黄昏」 八十一年公開作
ヘンリー・フォンダ、キャサリン・ヘップバーンの老夫婦の、特に
ヘップバーンの演技はいい、「招かざる客」の時の妻役もすんなり
こなして、ここでも良妻賢母の標語のモデル並の役をそつなくこなして
いて、流石に演技の巧い人は、その存在が光って見える。
また実の親子関係のヘンリーとジェーンが、虚実ともに氷解していく
様を見せられるのも、なんともほのぼのしてくる。
これによりヘンリーは、オスカーを得ているが、娘の親孝行の賜物で
その後、息を引き取っているとなると、この映画は生涯最大のいい作品
となる。
この映画の孫とじい様のやり取りが、日本映画で見受けられるやり取りと
重なるのは、高齢者と年少者という、無垢な人間と垢まみれから抜け殻へ
向う人間の欲のなさが、どこの国の人間でも共通する生き方なのを知らし
めている。
高齢化社会において、話し相手の不足がより年老いさせるのは、むべから
ぬものがあるが、こういった作品を見るにつけ、昔の日本の大家族、そして
そこで暮らす人々の方が、現代よりも人間らしい生活ではなかったかと、
つくづく思うものだ。
といったところで、またのお越しを・・・。