冷酷な秘匿事項の犠牲者「カサンドラ・クロス」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

反政府ゲリラに襲われる細菌研究所、そこで誤って閉じ込められていた

細菌群が大気中へと、ウィルス感染の恐ろしさと共に、非力なものの強力な

兵器として「卑怯者の兵器」と呼ばれる「病原性細菌」の拡散と、それを隠避

したい思惑の中で、何も知らされぬ者達の、犠牲は列車もろともの秘匿事項・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=gY1UTitVwB4&NR=1

「カサンドラ・クロス」 七十六年公開作

スイス・ジュネーブの研究所に侵入した反政府過激派の一人が、

極秘の生物兵器を浴びてしまい、そのまま逃走し列車に忍び込む。

その列車がヨーロッパ大陸縦断鉄道という設定で、被害拡散と情報

隠避に動くアメリカ将校、たまたま乗り合わせた医師の活躍と、アクション

サスペンスに満ち溢れていて、見ていて飽きない、それも列車という密室

空間と、拡散していく細菌で、緊迫感を盛り上げている名だたるキャスト

と、なかなかに面白いものとして、また社会派を気取ることなく娯楽作品と

している点に、製作力量が現れている。

もっとも・・・。それは後ほど・・・。


http://www.youtube.com/watch?v=ctX9Mpu5fiE

ラストの最大の見せ場、カサンドラ大鉄橋の崩壊

この映画の特撮というか、メインテーマが機密事項隠避にあり、使用されなくなった

ポーランドの大鉄橋「カサンドラ・クロス」への誘導、そして風光明媚な場所にかかる

橋の崩壊・・・。これが特撮の醍醐味ってところなのだが、明らかにオモチャ、そして

予算の関係か発火時間がずれて、おかしな感じで爆発が起こる。

ただパニックになる実写部分は、スピード感もあり惨劇もリアルなものとなっていて

冷静に見ずに入り込めば、オモチャに気をとられることなく乗客の惨状が良く伝わってくる。

ラストのバート・ランカスターの「不慮の事故が発生して、生存者は皆無・・・」の報告が、

娯楽作品に載せた権力者たちの隠避体質を物語って印象的に終わる。

良く出来た映画ではある・・・。


このところ中国の毒餃子が、報道を席巻してマスコミは原因は、どこで混入したと、連日

報道しているが、今ひとつ日本の報道機関は腰が引けていて、「原因究明までは輸入禁止

措置の発動」という論調がない。

狂牛病の時の批判と雲泥の差があるのは、いかがしたものか・・・。

で、はっきり分かるのが、日本の報道機関の姿勢である。

中共という空恐ろしい言論統制国家には、文句の一つも言えない。

それでこの「カサンドラ・クロス」を思い返すと、この列車に乗った乗客と、知らされない日本人

が同じ境遇にあるとなってしまう。

情報公開をくどいくらいに書きなぐるくせに、こと特定アジアとなると、さっと慎重な言い回しで

「内弁慶」ぶりを発揮してしまう。ジャーナリズムが日本にはない。

影響されず、立ち位置は中立、確かな目で国民の不利益には断固戦う・・・。

信頼を失いぱっなしの報道が、再生するのはいつか。

と、あの鉄橋に突き進む列車に、乗っている気分は嫌なものである。


                            といったところで、またのお越しを・・・。




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