「ポセイドン・アドベンチャー」の特撮技術スタッフを再結集して、今度は超高層ビルでの
火災が発生したらのコンセプトで、「大空港」の群像劇同様な人間の様々の思惑を描き
つつオールスター・キャストで製作した七十四年の映画。
http://www.youtube.com/watch?v=zsRnQQpklPM&feature=related
超高層のビルがそのまま「地獄」と化すパニック映画。
配役も名の知れた者たちが大挙して出演、中でもスティーブ・マックイーン
ポール・ニューマンの共演という、舞台も大金のかかる高層ビルに、出演料が
高層ビルと変わらず掛かるという、金額的に大作映画である。
「ポセンイドン・アドベンチャー」の群像を踏まえて、超高層ビルの落成式での
それぞれの思惑を描きつつ、火災というハプニングに戸惑う人々と鎮火に職を
賭す消防士や設計士の活躍がメインとなる・・・。
で、この映画で囁かれる神の領域に近づく不遜な人間として「バベルの塔」が
引き合いに出され、死んでいく人に対しての思い入れが観客に薄れる感覚が
あるように思う。
それはあの「貿易センタービル」の飛行機突入と崩壊するまでの間に、窓から
飛び降りる人を報道で見る時の感覚に似ていると思うのだ。
テレビに映し出される映像では、それが人命の喪失とどうしても思えないで、
災害時の「野次馬」と変わらない心境・・・。
それが続報に接する度に、人命の重さに実感が湧いてくる。
だけにこの映画を見ていた時点では、「天地創造」の神の怒りと同じく「凄い迫力」
的物見遊山だ。
にしてもここで活躍する「消防士」役のマックィーンのボロボロになる姿も格好良く
これまでも「いい男」が一段と輝いて見えた。
もっとも映画自体が、人命救出劇とも取れるから一番美味しい役ではあった。
惜しむらくは、特撮技術のまずさに鎮火の最大の見せ場が、バーナーの元栓締め
と分かる稚拙さが、それとあまりにも登場人物の多さに映画としての深みがなかった
のは、残念である。
にしても火災や災害以外、何をしているのか分からない「消防士」という職業のいざと
いう時のかっこ良さが目立った映画だった。
人を助けるために躊躇することなく、決死の突入することを職業とする「消防士」の
果敢な姿は、あのビル崩壊の時は、二次災害となってしまったが、人のために命を賭
しては尊敬されるものである。
まぁ普段、昼行灯でも「いざ鎌倉」の時、どれだけ動けるかに、あるいはとっと逃げるか
人間の資質はそんな時、はっきりするものかも・・・。
といったところで、またのお越しを・・・。