著作権の切れた良質の映画「砂漠の鬼将軍」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

第二次大戦のドイツにあって、つとに有名な将校といえば

ロンメル将軍であろう。

そのロンメル将軍の伝記小説を基にして映画化されたのが

邦題「砂漠の鬼将軍」原題「砂漠の狐」である。



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http://www.youtube.com/watch?v=X082qnr5oAU

五十一年公開作

戦争終結から六年で、敵方の将軍をイギリス人が小説を書き、

それを基に映画をアメリカ人が製作した。

一部には敵方を英雄視する物語に、批判も起こったらしいが、

大部分の人々が受け入れるという、神格化された存在なのが

分かる。

それ程稀有な存在だったロンメルだが、北アフリカ戦線までの

戦歴と以後の惨敗の戦歴とでは歴然とした差がある。

この差はロンメルの指揮官としての頭脳でなく、物量という同盟

国であった日本と似通った事象によってもたらされている。

延びきった戦線、そして支援物資のない状態では、いかに勇猛な

ドイツ機甲師団でも如何ともしがたい。

そしてこの映画は、その華々しい戦歴をナレーションで済ませ、ま

るで家庭劇みたいな自宅での焦燥と苦悩に焦点を当てている。

もっともここらは予算の関係で、ほとんど実写フィルムを挿入して

安上がりに済まそうとしたかのようだ。

http://www.youtube.com/watch?v=REi0lEQVVWs&feature=related

こちらは実際の本人のスピーチの動画である。

映画ではジェームス・メイスンが演じているが、よく似ている。

で、北アフリカ戦線で物資の困窮により「エルアラメンの戦い」に破れ

「ノルマンジィー上陸」でも敗退し、負傷の治療に自宅に戻り、そして

ここらが中心だから、部屋の一室でのやり取りが描かれる。

夫婦のあり様や苦悩を丁寧に描き、「ヒトラー暗殺」未遂事件での、猜

疑の目にと、「戦うことを本分」とする軍人ロンメルは、耐えがたき恥辱

の内に、何も言わず家族を心配して服毒自殺へと・・・。

映画はアメリカ映画だから、家族愛でラストを飾る。

邦題の付け方は、この場合いささかいただけない。

題名だけだと、戦争アクションを想起して見ていたら、腹が立ちってなこ

とも観客によっては有り得る。大蔵貢ならやりかねないが・・・。


このロンメルという稀代の軍人には、その戦術の見事さもあるが国際法を

守り、戦い敗れた敵兵を惨殺することなく捕虜に取っている。

この伝記もそのイギリス捕虜が書いたものであり、敵味方に慕われたって

何ともな・・・、それと機甲師団、戦車軍団という地上において一番華やかな

戦闘兵器を駆使してってのが、戦車好きにはたまらない。

人格者という言葉があるが、根っからの軍人には、その性格の人が多かった

のではないか。

もっとも指揮統一がなされていない軍隊では、やはり僚友が亡くなったりして

いれば、あだ討ち的気持ちが湧いて捕虜に虐待を強いるだろう。

その点、ロンメルの軍団は兵士一人一人も、規律のある軍人たちであったと、

なるのではないだろうか。

ロンメル一人が、捕虜をみている訳でもないし、まして強かった軍団には無数

の無名の兵士もいた。それらも評価されていい、そう思うのだが・・・。

ここらになると、お花畑と揶揄される人々には、とても理解出来ないものだろう

何しろなんだって、軍が悪いとしか喚かない思考停止した頭なのだから・・・。

            

                       といったところで、またのお越しを・・・。