殺戮と渇いた拳銃音「仁義なき戦い」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

七十三年、ヤクザ実録ものという映画が登場してきた。

勢力争いを繰り広げる、言ってみれば「内ゲバ」である。

それを描いたのが、深作欣二監督の「仁義なき戦い」である。



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http://www.youtube.com/watch?v=KRnXpt94O1A

七十三年公開作

飯干晃一原作の映画化なのだが、広島ヤクザ抗争の顛末を

スピード感溢れる映像と、これまでより過激なバイオレンスアクション

が全編を貫いて、男の諍いや思惑を怒りという単純化した抗争に駆り

立てて「争い好き」という定義で、突っ走った映画である。

だけにのんびりした「義理と人情」という従前のカテゴリーにない、犬の

様を見せられて、観客は驚くと共に魅せられてしまった。

このストーリーを簡単にすれば、犬の縄張り争いで、盗った盗られたの

その業界の「内ゲバ」を徹底的に派手にしているだけであり、感情が先行

し、そこに欲という動物にある原始的な欲求の充足が絡んでくる。

で、今では「ヤクザ」の世界が何でもありで経済が優先する世界と相成る

のだが、それの元々の原点を描いて見せたものとなる。

「下克上」という野心を持つ、あるいは「カムイ」という漫画に描かれる抑圧

された人々のなれの果てとみるか、または不法入国の三国人の争いと見る

か、今となっては色々な人種が入り乱れていて、「犬の縄張り争い」が誇張

されてしまっている。

とまれ、この映画はそれまでの勧善懲悪のパターンを打ち破る画期的な作

品になったのは確かである。


にしても、この抗争を描いた映画が、どれも日本人となっているがこのところ

知れ渡った在日朝鮮人の通名という、名前だけではその出自が分からぬ人々

の大部分に、やくざが紛れ込んでいる。

いや「暴力団」と呼ばれる現在の形態のほとんどが、それらの人々であるとなる

と、いささか暗澹たる気持ちになってくる。

結局不法行為を繰り広げる人々が、籍を持たない人々であり、国の形態などどう

だっていいの「アウトロー」である。

敗戦から復興の裏側で暗躍する人々、それまでの価値観から百八十度変わった

時の混乱だとしても、庶民の痛みに義憤を感じる「任侠」は忘れられ、「犬並みの勢

力争い」に血道を上げる、迷惑な人々ではなんとも・・・。

と、反面教師的側面も、この映画にはある。


                        といったところで、またのお越しを・・・。