七十年十一月二十五日夕刻、一人の男が自決している。
市谷の自衛隊駐屯地で、「憂国を説く男」の姿が、報道として
テレビ画面に映し出される。
自身の小説を映画化した「憂国」
ストーリーは、昭和の動乱期、ニ・二十六事件の陸軍将校に
断罪を下す役目をおおせつかった男の苦悩と、処理後の自ら
の自決を描いている。
この映画は短編なのだが、なかなかどうして三島の色濃い息遣
いも感じられ、その上妻の白い柔肌のエロティシズムという、三島
の世界観が現れている。にしても切腹の描写は後に自ら実行して
いる予行演習じみて見える。
http://www.youtube.com/watch?v=DaaPQXodDpI
パート1
http://www.youtube.com/watch?v=6scEBLmbslM
パート2
http://www.youtube.com/watch?v=a8-EvzNz58o
パート3
http://www.youtube.com/watch?v=tGC7UAuVyN0
パート4
本当はこちらの「午後の曳航」の映画があり、
しかしこちらの映画はよーつべに投稿されていなかった。
七十六年公開作で、サラ・マイルズ、クリス・クリフトファソン
の出演である。
日本の小説を、英国に設定を移し少年と母、そして船乗りの
人間関係を描いた作品であるが、この少年の価値観から逸
脱していく船乗りに羨望から裏切りに似た絶望を感じて、少年
は仲間うちでの「粛清」を決意し、午後のたおやかな日差しが
降り注ぐ海に船を出す・・・。
と、アメリカにしては曲解もせず、少年達の精神世界を見事に
描いている。
で、三島由紀夫の精神には、この少年達のボスの成熟した精
神性が色濃く出ているように思う。
十三歳という年齢が、今では大人びた言動でも受け入れられ
るが、当時としては、作者の主観が入り込みすぎていると、貶
されたものであるが、三島の先見性は理解出来ていなかった。
今となっては当時の三島の言動は、至極当たり前で万人に共
感出来る資質を有していて、生きていればカリスマ性は相当高
く、あの大江健三郎の卑怯な言い回しを糾弾しただろう。
と、今日は三島由紀夫を偲び、「憂国」を紹介した・・・。
といったところで、またのお越しを・・・。