ほら吹きクレイの半生「アリ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

改宗する前はカシアス・クレイと名乗って、「ほら吹きクレイ」と渾名される

大口を叩き、しかしその大口の通りに世界チャンピオンまで駆け上がって

しまった男は改宗により「モハメド・アリ」と名乗る。

この波乱万丈の男の半生を「ウィル・スミス」が演じたのが映画「アリ」である。



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http://www.youtube.com/watch?v=AUOaL2TQLbM

映画「アリ」

演じているウィル・スミスも相当に研究したのだろう。

よく似ているし、感情を抑えた演技は好感が持てた。

ただ、やはり似せていてもボクシング・シーンは少し

興ざめするが、反対に私生活でのアリの変化はボク

シングの試合以外知らないこちらにすれば、とても新

鮮であった。


http://www.youtube.com/watch?v=Kf64ZCYVcEI&feature=related

こちらは映画でも描かれているザイール「キンシャサの奇跡」の実際の

映像。体力的にもパンチ力的にも劣るアリが、ファマンに勝つ方法は

パンチのある人のスタミナ不足を加味して、クレーバーなボクシング

スタイルでスタミナを奪う戦法を心がけ、畳掛ける時は一気に・・・。

ただこの試合を見てた時の思いは、アリも落ちぶれて戦わない。

負けではないかだっただけに、八ラウンドの終盤のたたみかけには

あっけに取られたし、身震いが起きた。


http://www.youtube.com/watch?v=9p8iJXUWLKw

華々しい活躍を見せる若かりしカシアス・クレイ時代の映像。

アトランタ・オリンピックの時には最終聖火ランナーとして聖火台に点火

する姿には、心が痛む思いだった。

で、現在は誰でもアリなのにクレイとしつこく書くかといえば、沢木耕太郎

著の「一瞬の夏」が思い出されるからだ。

この本は、内藤純一のことを書いた本である。

リング・ネームは「カシアス内藤」と名乗った。


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アメリカ黒人と日本人妻の間に生まれた内藤は、その運動神経も

ボクシング・センスも日本人離れしていて、アマチュアでチャンピオンと

なり、プロへ進むのだがここでジムの意向で「カシアス内藤」のリング・

ネームを付けられてしまう。

元来が風貌に似合わず優しい性格で、人を殴れない。

その男が・・・。

って、本の紹介してもしょうがないが、黒人の血が流れる内藤もカシア

ス・クレイは知っているが、寡黙で心優しい男からすれば、その名を名

乗るプレッシャーを周囲の者は理解出来ず・・・。


カシアス・クレイもアメリカの時代の犠牲者の側面がある。

「ベトナム戦争」徴兵拒否からチャンピオン剥奪、引退、復帰と翻弄され

ることになる。その間がイスラム改宗の時でマルコムXと知り合う。

社会的に権力と対峙するというか、黒人差別に憤り差別撤廃運動に深く

関わっていく・・・。

トリビアとしてシルベスター・スタローンのロッキーのヒントとなったのは、

アリに無名のボクサーが挑んだ試合から・・・。

また谷村新司の「チャンピオン」は当時、破竹の勢いから転げ落ちる

カシアス内藤のことを歌ったものだそう・・・。


           とぐしゃぐしゃなままこの辺で、またのお越しを・・・。