俳優・監督として名を残す「リチャード・アッテンボロー」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

映画俳優の中で主役でなく名脇役として、いぶし銀的演技をし名を

知られた人が、その後、映画監督しても名を残すということがある。

「ガンジー」という映画の監督、リチャード・アッテンボローも、そんな

一人に数えられるだろう。



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http://www.youtube.com/watch?v=ZKTuWCgiNhs

「砲艦サンパブロ」六十七年公開作

スティーブ・マックィーン主演の映画で、中国動乱の時期の

アメリカ軍の砲艦での出来事の物語で、アッテンボローは

内気な水兵の役で、飲み屋の女を身請けする決意も主人公

にお通しされてやっと進める純真さを持つ、結局動乱の中、念

願の妻は殺されてしまうが、嘆き悲しみの演技は良かった。

朴訥でどこか物静かな風貌と、紳士的態度は好感が持て、

この映画を見てとても印象に残った。

また「大脱走」での脱出後、ドイツ軍に捕らえられる後の死を

覚悟する表情も、とても哀しみが伝わってくる。


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http://www.youtube.com/watch?v=DKDPX8PEiVk

「遠すぎた橋」七十七年公開作

第二次大戦において、ノルマンジィー以後の快進撃を続けた

連合軍の「驕りと内紛」により、手痛い反撃を食う戦争映画。

監督となり、取り上げる材料は「勝利した戦い」でなく、人間の

驕りが招いた悲劇を取り上げるところなど、なかなかに芯の

通った役者魂のまま、監督をしている。

何より一方的描写が多い戦争映画に於いて、連合軍とドイツ軍

の置かれた立場を丁寧に描き、兵を駒としか見ない上官の驕り

に全滅に近い惨敗の映像を、そんなところは戦争映画であり、反

戦を静かに訴える側面を描いているヒユーマンな造り方だ。

これが以後の「ガンジー」などに生かされる気概かも・・・。


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http://www.youtube.com/watch?v=lDoWLcF8AOI

「遠い夜明け」八十七年公開作

この映画の前に「ガンジー」「コーラス・ライン」と系統の違う

映画の監督をしたが、それで溜め込んだ資金で作った映画。

南アフリカの「アパルトヘイト」への激しい批判、そして黒人活

動家とジャーナリストの心の交流と、迫害を受けるものと、加

担をしなくても迫害する側の人間が、その迫害が人間性を踏

みにじる蛮行であると憤慨し、それを報道者として世界へ知ら

しめようと奮闘する。

ここらは「キリング・フィールド」と似通ったドラマ性がある。

違いとすればアメリカ人でなく、イギリス人と黒人というところ。

これは同じイギリス人の監督の贖罪意識から、この映画を撮っ

たとも思われる。

主演はデンゼル・ワシントン、これが黒人活動家のプライドある

覇気を画面に溢れさせる演技で、その存在感を示していた。



イギリス人のリチャード・アッテンボローの演技も監督としての腕

も、その根底に流れる迫害を受ける人々の「人権」に焦点をあてる

気概がなんとなくわかる。特に「ガンジー」も「遠い夜明け」も共に

イギリスの植民地であったところに、その迫害を描こうとした性根は

なかなかたいしたものだと思う、その気概がなんとなくその顔立ちに

も現れていて、とても好感が持てる役者であり、監督である。

俳優としては、ジュラシック・パークにも出ていたが、あれは頼まれ

れば断れないといった程度の出演ではなかったか・・・。


              といったところで、またのお越しを・・・。