「ニルソン」が優しく伝える男の友情物語 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

映画においての音楽の位置は、その曲の良し悪しによって映像が

見ている人に、強烈に残像として記憶されるものがある。

そんな映画の中で、「男の友情」を扱ったものがあって、今度は

その曲を聴くだけで、映画を思い出すってなことが・・・。

そんな中に、ニルソンが歌ったものが含まれていた。



mid001


http://www.youtube.com/watch?v=QorkFwpOo6E

「真夜中のカーボーイ」

六十九年公開のこの作品は、都会の最底辺に暮らす

夢破れた男二人の、悲しくなる友情物語。

ラストシーンの観光バスの中での、ダスティン・ホフマンの

情けない男の演技は秀逸で、そっと涙を誘われる。

「僕と観光バスに乗ってみませんか」という森田童子の歌が

あるが、この映画が根底にあったのではないかと思う。

男同士のやるせない雰囲気を、ジョン・ボイドとの間に交わ

される態度の変化で、見ていて痛いほど分かる・・・。

ここでのニルソンの歌声は、溌剌として活気に満ちているの

だが、どこか物憂げな陰がどうしても付き纏う。



broku001


http://www.youtube.com/watch?v=3YkFGN9M6tQ&mode=related&search=brokeback%20mountain%20both%20sides%20now%20heath%20ledger%20jake%20gyllenhaal

「ブロークバック・マウンテン」

去年公開のこちらの作品は、男の友情を飛び越えてしまった

やるせなさが画面いっぱいに出ている。

にしてもこの二人の「美しさ」は何としたことだろう。

撮り方を間違えれば、ただのホモ映画を完全な「純愛ドラマ」

に昇華させている。


http://www.youtube.com/watch?v=EaEoBs4SNeY

ニルソンの歌に、この映画も合ってしまう。

というかこちらの方が、静かな余韻を楽しむでなく、より抒情的に

盛り上げてしまうかも知れない。曲は「ウィズアウト・ユー」


昨日のエントリーの「アウトサイダー」で、「ウィズアウト・ユー」の

動画があった話をしたが、こちらもそうなのだかなぜニルソンとい

うかと言えば、この二つの曲、シンガー・ソングライターのニルソ

ンのオリジナルでなく、他人の曲を歌ったものだ。

「うわさの男」のヒットにより、世に知られるようになり、「ウィズアウ

ト・ユー」でその地位を固めた。

自分のオリジナルでは「ワン」という曲がとてもいい曲だが、スマッ

シュ・ヒットどまりだったのに比べて・・・。

もっとも「ウィズアウト・ユー」はイギリスのバンド「バッド・フィンガー」

の曲だから、オリジナルの人達も同じ思いだったかも知れないが、

とそういうことを考えながら、この二つを見てみれば、「男の儚い優し

さ」とか、女に理解してもらえない心情が、なんとなく分かってくる。

この作品以外でも、「スケアクロウ」なんてなかなか秀逸な男同士の

友情というか、分かり合える友の存在が見ていて「美しい」と映る。

で、今でもこんな歌が、酔い席で飛び出すのは、時代が変わっても

男という生き物の不器用さの表れか・・・。


「あんな女に未練はないが、なぜか涙が流れてならぬ

男心は男でなけりゃ、分かるものかと、あきらめた・・」

                         人生劇場 二番


                 てなことで、またのお越しを・・・。