男の哀愁を暴力で描く「サム・ペキンパー」そのニ | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

ペキンパーの西部劇での描写には、どうしてもあのマカロニ・ウェスタン

の匂いが、それもセルジオ・レオーネの匂いと、それらを上回るバイオレ

ンスのリアルな描写がアメリカでなく、マカロニの日本での評価の高さ同

様日本ではヒットしたものだが、西部劇以外でも映像の残酷リアル場面

は引き継がれている。



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http://www.youtube.com/watch?v=V-u24EjzD-Y

「戦争のはらわた」

戦争をドイツ兵の視点から見たもので、主役がアメリカ人

と言うところで、今ひとつなのだが、不条理な戦いにおける

男の葛藤が良く描かれている。

にしても邦題は、何とかならなかったものか・・・。

いくらバイオレンスとはいえ、ホラーじみてしまっている。

原題は「鉄十字」ドイツの勲章のことだから、もうちょっと

いい邦題を付けてやればいいものを・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=dwJAtMYHgNY
「ガルシアの首」

貧乏人が金のため、死体から首を持ち去る。

で、賞金のためであったのが家族を惨殺され、

復讐も伴って、一人きりの戦いを・・・。

ペキンパーの美学は、滅びにおいて「窮鼠猫をかむ」

の五分の魂を存分に発揮させる。

生々しい映像に共感を覚えるのは、やはり・・・。


http://www.youtube.com/watch?v=QPS-YFhhgx8

「わらの犬」

アメリカ人の教授が、静かでのどかな田舎暮らしに

あこがれ、やってくるイギリスの片田舎・・・。

妻の出身地での村人達の狂気にさいなまれる大人しい

男の、反撃は胸がすく思いがした。

もっとも妻のスーザン・ジュージは、どう見ても貞淑な

妻でなく、どちらかと言えば性をアピール、またいじめら

れる表情が良すぎて、ペキンパーのサド的視点なのか

ありえねぇとなるんだが・・・。


http://www.youtube.com/watch?v=9FhkOy1inT8

「ゲッタ・ウェイ」

ペキンパーのヒット作、スティーブ・マックインの溌剌とした

演技が見れる。

ただそれだけの作品、編集に携われなかったペキンパー

にとっては不満が残るのだから、バイオレンス的より、エン

ターティメントが商売上は重要なのを分からせる。


と今は亡きサム・ペキンパーの映画を書いてみたが、

これらに共通するのは、やられたらやれの、徹底した抵抗意識

特に「わらの犬」の良識派を、自衛のためとはいえ同じ土俵に

上げるまでの凶暴性が、ペキンパーが思い描く男なのだろう。

だけに見終わった後は、主人公達が輝いて見える。

この映像描写は以後、アクションを得意とする監督に多大な影響

を与えて、アクションシーンに散見されるようになった。

ただ「男」を今では「女」に替えるアクションという、なんだかなぁ・・・

の作品も多いのは、それだけ女々しい男の多さが問題か・・・。


              といったところで、またのお越しを・・・。