巨大生物への憧憬と恐怖、でもいただけない映画もある | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

人間の想像力によって、あらゆる物が巨大化して大暴れする映画というのが

古くから作られてきた。日本でいえば「ゴジラ」だしアメリカでは「キング・コング」

が有名である。

それらの知名度からは、かなり落ちるし制作費をケチっているから作りも粗雑

なものが出来上がり、客は真剣に見ることなく笑い転げる。

そんなところも魅力であるかも・・・。

 


ペキン001

http://www.youtube.com/watch?v=upC8LAjN9Jk&mode=related&search=king%20kong%20mighty%20peking%20man%20remake

「北京原人の逆襲」七十七年公開 製作香港特撮東宝

 

「キング・コング」の影響というより、パクリとって一発あててやれの思惑だけで作られた

「ターザン」と「キング・コング」と「ゴジラ」との良いとこだけを組み立てた映画。

ただこの映画が香港というところで、とても今の中共中国の残虐さを現す場面がある。

そこらは腹を立てながらも「人権」という言葉すら存在しない中国として見ると、映画も

まったく違って見えることだろう。

出だしからヒマラヤでの大地震、それに続く原人の登場、そしてひなびた村が犠牲になり

全滅する。ここらはただただ殺しが大好きで、村人達の踏みにじられた「人権」は、全く顧ら

れない。そして場面は展開して香港、そこで山師の登場、報道で知る「北京原人」で一儲け

を企む。で恋人に振られ腐っている主人公に話を持ちかけ、簡単に承諾して「探検隊」を組

織してヒマラヤ向けて出発、もっとも苦難を描くのに断崖絶壁を登り、とかジャングルとかい

ささか場所の特定が出来なくなるが、そこらはすべて端折って、物語は進んでいく。

困難に探検隊は主人公を残して、霧散してしまう。ここらも性格が良く出ている。

「おらっ、しらね、かってにやってろ・・」がモロ、で主人公は窮地を「女ターザン」に救われ、

仲良くなっていく。でこの「女ターザン」が原人と仲良しで、森の動物とも仲良しのと来ると

「森の熊さん」だが、どうしたことか蛇に「女ターザン」が噛まれてしまう、有り得ねぇ展開。

それを主人公が献身的な看病で助けると、もうラブラブモードに突入。

森の動物達が見詰める前で、いちゃいちゃそして男女関係が結ばれてしまう。

「女ターザン」にすれば最初の男ってことで、主人公の言いなりに香港に原人と共にやってき

てしまう。ここで山師が、「女ターザン」の肢体に横恋慕して、それを原人が見つけ激怒し、

それまでの大人しさをかなぐり捨て、暴れ回る。

ここらからは東宝特撮の独壇場で、どかどか建物を壊していく。

で軍司令官が登場と相成り「殺せ、殺せ」の絶叫である。

なかなか倒せなければ、もう都会とかそこらは全く関係なく「焼き殺し」を命じる。

流石にそれを止められ、「女ターザン」に説得され原人は大人しくなるのだが、殺人鬼と化した

司令官は「女ターザン」もろとも「殺せ、殺せ」の絶叫を再び上げて、逃れる原人は猿の習性の

ように高いビルへと、そこに情け容赦のないヘリコプターの攻撃、原人は「女ターザン」を守れず、

一人屋上から落ちてきて動かなくなる。そして主人公は「女ターザン」を案じて屋上へ、そこには

屍となった「女ターザン」が、そして主人公は抱え上げ、眼下を見詰めそして遠くを見詰めで、エ

ンドとなる。

と簡単に書いたが、このストーリー、香港だからだと思うと、中国人の根底を見る気がする。

軍の司令官は「とにかく殺せ、何が何でも殺せ」である。

そして目的遂行のためなら「都市が火の海になるのも厭わない」

と、とてもくだらない映画でも、ちょっと見方を変えると、おかしなところに性格が顔を出す。

「キング・コング」でも「ゴジラ」でも徹底的に破壊行為が行なわれるが、この火をつけるアイデア

は流石に浮かんでこない。そして「殺せ、殺せ」の絶叫はなんとも・・・。

と、真剣に書くこともない映画だけれど・・・。

 

                              といったところで、またのお越しを・・・。