賞金稼ぎから無頼の刑事へ、「ダーティ・ハリー」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

「荒野の用心棒」のヒットを始めマカロニ・ウェスタン三部作で、名だたる俳優となった

クリント・イーストウッドが、本国アメリカでこれまた大評判を呼ぶこととなる。

七十一年公開の「ダーティ・ハリー」なのだが、ニヒルな役柄はマカロニで培われたも

の、それに社会正義が加わるから、観客は少々乱暴な刑事でも、いや少しアウトロー

気味のハリー・キャラハン刑事の、胸のすく活躍に酔いしれる・・。

いいも悪いも、西部劇の身上が根底にあり、科白も渋くなっている。

ここらは完全にレオーネの影響が見て取れ、そして好みの音楽をさり気なくバックに

使うと、イーストウッドの出たい映画に仕上がった・・・。



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http://www.youtube.com/watch?v=YykfDFEk3y8

第一作目「dirty harry」

七十一年、このラスト・シーンの渋い科白で、サイコ・キラーを追い詰める

のは、見ていてすっきりする場面で、このキャラクターが確立された記念

すべき一作目。


http://www.youtube.com/watch?v=imCzx-bqrY4

第二作目、「magunm force」 

七十三年公開 社会正義に対する考え方の違いも鮮やかに、さらにハリー

のキャラクターが光る。


http://www.youtube.com/watch?v=VNLaGM3ox0M

第三作目「the enforcer」

七十六年公開 一匹狼のハリーに、相棒を押し付けせけて、しかもそれが

新米警官の女、反目しあいつつ徐々に打ち解け、ラストシーンの女の科白

が憎いし、その後のハリーの科白も渋い・・。


http://www.youtube.com/watch?v=o9LaUP5au9U

第四作目「sudden impact」

八十三年公開 かなり込み合ったストーリーに、絡む女の過去、当時の恋

人ソンドラ・ロックを共演者に選んで、科白もより渋く決めている。


http://www.youtube.com/watch?v=LeGXFwBBK1A

第五作目「the dead pool」

八十八年公開 流石に十七年もやっているから、一匹狼も年老いて・・・。

パワフルさは薄くなったが、初老の正義感に揺るぎはなく、ラスト・シーンも

かなり過激なままだ。もっとも組織にいる以上、いつまでも一匹狼は続けら

れないし、はぐれているのも限界か・・、といって官僚みたいなハリーでは、

アクション映画とはいえなくなってしまう。引き時だったのかも・・・。


イーストウッドのマカロニからの快進撃を支えたシリーズ「ダーティ・ハリー」

マグナム四四という口径の大きい拳銃も特徴的だったが、どこか組織に馴染

めず、それでいながら観客が痛快に思う社会正義を確立する行動と娯楽とし

てのアクション映画を、見事に融合させた以後の刑事物に影響を与えた。

ただハリーのキャラクターは、やはりマカロニで培ったアウトロー的性格が

多分に加味されて、それに無骨な優しさをない交ぜにした理想的刑事を作り

上げた。もっともそれは映画の中だけだけど・・・。


                    といったところで、またのお越しを・・・。