陳腐なキャツチコピーに笑いが出るが、この六十九年の「ウッド・ストック」
ロック・フェスティバルは当時、集まった人数もそしてたいした混乱もなく、
成功裏に終えたフェスティバルとして衝撃出来事だった。
五十万人近くの若者を集め、三日間、今では陳腐の言葉「ラブアンドピース」
を全面に掲げ、「ベトナム戦争」反対、ただ過激なデモをするわけでなく、ムー
ブメントとして起こった「フラワー・チルドレン」の声なき抗議・・・。
そのドキュメンタリー・フィルムがこの映画である。
http://www.youtube.com/watch?v=pyTUF5gP2KE
ジョニー・ミッチェルがこのコンサートの素晴らしさに感動して
作ったのが「ウッドストック」で、csn&yが歌っていた。
それよりはソフトな歌声の「マシューズ・ササン゛・コムフォート」
のやつで、三々五々集まりだす聴衆の様子が映し出されている。
http://www.youtube.com/watch?v=euUitQtlKMg&mode=related&search =
この映画でも、そしてコンサート自体でも「ジミー・ヘンドリックス」が
一番インパクトのある出演者であったろう。
アメリカで売れず、イギリスでその独特の奏法が評価され、「モンタレー」
でアメリカでも人気に火がつき・・・。
何より「アメリカ国歌」を演奏する黒人である。そして続けて「紫のけむり」
の皮肉に無言の反骨心が・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=f50BtRnpV8A
ギターといえば、このジョニー・ウィンターも「百万ドルのギターリスト」と評
されテキサスの田舎から引っ張り出されたやぶ睨みの男。
http://www.youtube.com/watch?v=8PG2TDaJDhQ
ジミー・ヘンドリックスと同じく「モンタレー」でブレイクし、瞬く間にブルース
の女王に駆け上がった「ジャニス・ジョプリン」
もう「ウッドストック」の時は生命の炎は切れかかっていた。
だけに「ボールアンドチェイン」が悲壮に響く・・。
で、上げた三人はもう既に亡くなっている。
http://www.youtube.com/watch?v=oQDakdp5WZ0
「ジョー・コッカー」この職人上がりの歌い手は、歌のインパクトは随一では
なかろうか・・。「ウィズ・ア・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」
http://www.youtube.com/watch?v=3Ig-6f0g55c&mode=related&search =
この「コンサート」のパフォーマンスの一番は、この黒人グループに
なるだろう。「スライ&ファミリー・ストーン」
「I want to take you higher」
このドキュリメンタリー・フィルム以降、各国でこの催しに憧れ大規模なコン
サートが計画されるが、いずれも商業主義的要素が強く、「フラワー・チル
ドレン」のおこしたコンサート体系にはとても及ばない・・・。
もっともこのフィルムが世界配信されると、制作した若者達に大金が舞い
込み、相当な批判を浴びたのも後年になってから判明している。
そうそうあの悪名高い「グリーンピース」も元はといえば「ベトナム戦争反対」
の船での軍艦体当たりという過激なパフォーマンスを繰り広げた若者達で
あったが、それでは生活出来ない、で環境保護などと市民運動という圧力団
体として生き延び、それで生活している・・・。
こんなところに六十九年という「ウッド・ストック」の価値がある。
後年、イーグルスが「ホテル・カリフォルニア」で歌う「俺にワインを注いでくれ」
「いや、お客さん、六十九年まではスピリットはあったけど、今はウィスキーも
ないんですよ」と酒に喩えて皮肉混じりに歌っている。
http://www.youtube.com/watch?v=dFp48BLpH-A&mode=related&search =
サンフランシスコに集まり始めた「フラワー・チルドレン」を歌ったのが、スコット
・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」で六十六年である。
http://www.youtube.com/watch?v=R0qeFZbvNa8&mode=related&search =
その「フラワー・チルドレン」の終淘を知らしめたのがイーグルス七十六年の、
「ホテル・カリフォルニア」この歌「フラワー・チルドレン」の鎮魂歌ではないだろうか。
この間たった十年、そして実際は「ウッドストック」までは五年、その程度のムーブメ
ントが残したものは・・・。
そしてその喪失感が日本でも「ホテル・カリフォルニア」のヒットに繋がる・・・。
「フラワー・チルドレン」が都会に戻り、次世代に伝えたものはなんなのだろう・・・。
といったところで、この辺でまたのお越しを・・・。