サックスの音色は、秋の夜に似合う「ラウンド・ミッドナイト」と「バード」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

音楽映画の中でストーリーが秀逸だったものに、「ラウンド・ミッドナイト」という

ジャズの映画があった。

現役のサックス・プレイヤーが主役で、ジャズ好きなフランス人との間で心の

交流が画面からジャズと共に溢れてくる、心温まる音楽映画・・・。




http://www.youtube.com/watch?v=HLkDHiPAjHk&mode=related&search =

主役はサックス・プレイヤーの「デクスタ・ゴードン」で呑んだくれの

ジャズ・プレイヤー役を見事にこなしていた。

http://www.youtube.com/watch?v=Q8slYQHMFDk

他に名の知れたジャズ・ミュージシャンが多数出ている。

映画の感想は、下記のサイトにあったのでそちらを参照されたい。

http://blog.goo.ne.jp/hazama0515/e/913d3e9c05d2b83c4c2dbac2312f2213

手前味噌な感想文である。

で、もう一つのジャズを扱った映画は、クリント・イーストウッドが監督した「バード」

こちらはサックス・プレイヤーの伝記もの。

「バード」と親しまれたチャーリー・パーカーの生涯である。



http://www.youtube.com/watch?v=fS0M-GjgEi8

アルト・サックスの絶対音階を持つ男、チャーリー・パーカーの

波乱に満ちた生涯を、ジャズ好きのイーストウッドが監督している

ものだが、珍しく彼は出演していない。

で、演奏場面はバリバリの現役プレイヤーが演奏していて、映像

なしでも音楽を聴いているだけでも満足・・・。

ただ伝記物につき物の、生前の善の部分が全面を覆い、悪のア

ル中から麻薬に手を出しての転落については、苦悩の逃げ道と

して捉えて、ドロドロの人間模様はさらりと描いてしまう。

だから音楽以外、ああパーカーはこんな人生を送った記録的

描写しか記憶に残らない。


と二本のジャズを並べたのは、いかに偉大な功績を残した人で

も、伝記物とモデルとは全く違う人物を主人公に据えて作品と

したものとでは、やはり生身の生き方に軍配が上がる。

もっともデクスタ・ゴードンの演技とはいえない演技ぶりがそう

見せるのかもしれないが、ファンがそれも熱烈なファンの存在

が、いかに音楽で大切か、ハード・スケジュールをこなし生身で

演奏を続けるのは、マンネリとの戦いもテクニックの衰えとの戦

いでもあるから、プレイヤー自身が一番分かっている、そして

熱烈なファンも好不調を感じ取れる・・・。

サックスもペットと同じく、人間が吹き続けるもの・・・。

電子音楽にない生身の温かい音の魅力は、そんな年齢とも関係

してくるのかも・・・。

これから秋の夜長、サックスの軽快なあるいはけだるい音に触れ

るのも、こころの贅沢かも知れない・・・。


           といったところでこの辺で、またのお越しを・・・。