七十六年公開の映画だが、先のエントリー「タクシー・ドライバー」を押しのけて
アカデミーを掻っ攫ったボクシング映画。
設定はそもそも無理があるのだが、そこは強引に異様な練習風景が吹き飛ばし
「アメリカン・ドリーム」まっしぐらの、気持ちだけはいい映画。
アラを探せばきりないが、この映画も音楽に随分と助けられている。
ビル・コンティのこの曲なくして、ヒットは有り得ない。
http://jp.youtube.com/watch?v=YgmK7110jYU&mode=related&search =
この映画、己の肉体と拳と精神で無謀な挑戦をする無名人だが、
名が「ロッキー」って少々安直ではある。
「傷だらけの栄光」のポール・ニューマンさながら、ロッキー・マルシアーノ
の国民的認知度も旨く取り入れて、また内気な性格の恋人へのアプローチ
は古典的アメリカ求愛で、もっとも喜ばれる単純気質のアメリカならでは・・。
いや移民の国、アメリカだからこそのオーバーな自己表現・・・。
ただ現チャンピオンが気まぐれってのは、現実離れしているし、ボクシング・シ
ーンはお世辞にも旨いとは言えない。
しかしそれらを蹴散らすパワーを映画全体に感じる。
荒削りなそれでいて観客にアピールする映像の数々、ヒットする要素を旨く取
り入れて崖っぷちスタローン起死回生の快作・・・。
と、言ったところで続編が次々生まれたシリーズ一作目だが、これのヒットで
金がかれられるようになった二作目の方が、映画自体としてはまとまっていた
と思う。
それにしてもこの音楽、良く出来ている。
人のテンションを高め、意気軒高にさせる。
アメリカン・ロックのストレートな魅力は、理屈でなくノリの良さってのがつくづく
分かる。曲を提供してくれた人に感謝しなくっちゃ・・・。
「タクシー・ドライバー」は映画館を出ても気分が少し落ち込んだままなのに、
こちらまるで「燃えよ、ドラゴン」の映画館を出た時の気分・・・。
って、分かる人にしか分からない、爽快感を味わえる映画ではあった。
てなことで、またのお越しを・・・。