時代は「賞金稼ぎ」から「恩讐へ」 髭面からの脱却 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

前三作のヒットで、本場資金の調達もありまた、以前のパターンからの脱却

が露わになり、兄の敵討ちを誓う男に、チャールズ・ブロンソンを置き、相手役の

殺し屋にヘンリー・フォンダという、名の通った俳優を配置して、西部が鉄道の埋設

により近代化への狭間での物語で、原題にある「ワンス・・・」通りの時代に取り残さ

れた殺し屋、そして「賞金稼ぎ」でない寡黙だが誠実な男・・・。


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http://www.youtube.com/watch?v=49FsaizH9tQ&mode=related&search =

この映画のプロローグは異様に長い、そしてそこに思い入れが感じられ

チャールズ・ブロンソンの圧倒的存在感が、物語をぐいぐい引っ張っていく。

これはレオーネの西部劇へのオマージュとして捉えられる。

旧来の主人公達は、鉄道の発達の陰で忘れられていく存在で、馬に乗って

野山を駆け回る時代が過去になりつつある。

そして「恩讐」が主題に浮上し、これまでどこまでもアウトローだらけから、

時代の進歩を鉄道で・・・。これはあの「西部開拓史」的趣きをもって製作さ

れている。もっとも流石に対決場面や、ブロンソンのガン捌きはイーストウッド

並に格好いい、珍しくクラウデア・カルデナーレというイタリアの有名女優が、

色を添えている。


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http://www.youtube.com/watch?v=tGtuRf2J7Ko&mode=related&search =

この邦題では、西部劇とニューヨークにはびこったイタリアン・マフィアの

ギャングがごちゃ混ぜになったような映画と取られかねないが、これは

言うなればメキシコ独立時の混乱の中で暗躍した人々、だから「ワンス・

アポン・ア・タイム・イン・メキシコ」である。

だからガンでなく、機関銃に爆弾の専門家とアイルランド移民という、西

部劇のカテゴリーから逸脱していく。

もっとも独立の混乱期は、ひっくるめれば西部劇なのだろうけど・・・。

ジェームス・コバーンとロッド・スタイガーという名優を使い、これまでなか

った男と男の友情をモチーフにしている。

だけに殺伐とした会話でなく、どちらかといえばコメディ・タッチで笑いを誘う

しかしこの掛け合い漫才も、名優達は躍動感溢れた演技で、絶妙の間でこ

なしていく。流石に出たくて出た映画だけに、面白さからいえばこれが一番

かもしれない・・・。


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http://www.youtube.com/watch?v=Po3tj1U83V4

イタリアをはじめ、各国系の移民たちの苦難の末の移住地、ニュ

ーヨークでの暗躍は、アウトローとだけ言えるものでなく、生き抜

くのに懸命な人々の歴史としても捉えられる。

ロバート・デ・ニーロとジェームズ・ウッズとの友情を主軸に、年老

いた身になっての回想は、当時を忠実に再現したセットと共に、セ

ピア調の色合い濃い物語を、格調高く描いている。

また回想や少年期に出てくる少女の可憐さや、成人してからの成

熟した女性の気高さと、これまでの作品に見れなかった女性への

描写にモリコーネの音楽、そしてザンフィルのパンフルートが作品

の品を高める。

これを完成させるのに十年の年月をかけ、結局この作品が遺作と

なったのだが、行ったり来たりする監督が多い中、ヒットに恵まれ

たから徐々に年齢を重ねるように、作品の意味合いも抒情詩的雰

囲気をまとい、アウトローがもてはやされた時代から、忘れ去られ

る時代へと、環境の変化を映像で残しているようだ。

だけにニヒルな面構えの主人公達の、陰に隠された孤独をこの最

後の作品では、仲間によってそれを取り除こうとしたように思う。

一匹狼という「男の美学」に色づけされた作品が、今後出てくる環

境にないのは、惜しい気がするがそれも時代の変化なのかも・・。


          お盆休みに入るから、更新が遅れるかもです。

              ではではこの辺で、またのお越しを・・・。