髭面の男くささに痺れる「夕陽のガンマン、続・・・」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

イタリアにセルジオ・レオーネという監督がいた。

先の「ライフ・イズ・ピューティフル」の八面六臂の活躍のコメディアンと違って、

数少ない映画を撮っているが、これがどれもとても男くさいものばかりで、中で

もあの「荒野の用心棒」から始まり、「ワンス・アポン・タイム・アメリカ」まで貫か

れた美学は、今では貴重である。で、今回はマカロニ・ウェスタンと呼ばれる西

部劇のジャンルを樹立した三部作「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続夕陽

のガンマン」を紹介したいと思う。


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http://www.youtube.com/watch?v=mDavbqqRPyQ&mode=related&search =

このオープニングの音楽から、痺れる。

この黒沢明の「用心棒」を西部劇に置き換えた作品は、

マカロニ・ウェスタンとして日本で一躍、大ヒットした。

主演のクリント・イーストウッドも一気に名前が売れた。

http://www.youtube.com/watch?v=s2ar1OB1LSQ&mode=related&search =

セルジオ・レオーネと音楽担当のエンリオ・モリコーネのコンビは映画の雰囲気

を高める術を心得て、印象深い音楽を全編に流した。

この映画の「さすらいの口笛」もとても印象に残る曲だ。


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http://www.youtube.com/watch?v=do3eY5k1wCI&NR=1

「荒野の用心棒」のヒットを受けた次作として公開された

「夕陽のガンマン」はスケールもアップし、また名脇役と

して「リー・バン・クリーフ」を輝かせた。

憎らしい程冷徹に「賞金稼ぎ」に勤しむクリーフの陰を

含んだ演技は、対決の懐中時計の刻む音とともに、映画

の緊迫感をいやがうえにも盛り上げた。

http://www.youtube.com/watch?v=1XpN2yW36NQ&mode=related&search =

このシーンは後に「アンタッチャブル」の駅の階段の名シーン

にも引用され、とても効果を上げていた。

そして前作からの延長みたいな主題歌も、耳に心地よい。


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そしてこの三作目のスケールは格段に上がって「南北戦争」

も取り扱っている。ただの「賞金稼ぎ」の殺戮から三人のキャラクター

の際立ちで、それなりに面白い作品ではあった。

http://www.youtube.com/watch?v=Xj0gJTGL93Q&mode=related&search =

この映画も、何よりエンリオ・モリコーネの音楽の冴えが際立って、映画音

楽としては特出で、公開後ポピュラーチャートで何と一位を記録した。

ただし娯楽作品としては、あまりにも色々詰め込みすぎて、最後のシーン

を除いて、冗漫な感じになって、途中だれる気分は、前二作がスピードと緊

迫感が持続していたので、少々惜しい感じだった。

まぁ、汚いやつを登場させ、それを笑いの狂言回しに使いたかったのが、少し

キャラクター的に中途半端に過ぎた。

http://www.youtube.com/watch?v=sXldafIl5DQ&NR=1

とはいえ、セルジオ・レオーネとエンリオ・モリコーネの功績は大きい。

今までの西部劇にない男くささと緊迫感溢れる対決シーンは本場を凌駕して

スリリングな展開が、全世界にファンを獲得する原動力になった。

そして未だに、その影響は残っている。ファンは色々な編集をして投稿をして

いるのを見るにつけ、それを裏付けているようだ。

この三作品の評価は高く、何より俳優がレオーネの映画に出たがるまでに

なった。あの「荒野の用心棒」の公開時監督名は、亜流のイタリアの引け目か

アメリカ人みたいな名前だったのだから、公開時と三作公開後では待遇も雲

泥の差となって、これ以降名俳優と呼ばれるチャールズ・ブロンソン、ヘンリー

フォンダ、ジェームズ・コバーン、ロッド・スタイガーとかが出演している。

そう本場の俳優が亜流であったイタリア製西部劇を認めたのである。

もっとも日本でもそうだが、「柳の下のドジョウ」は何匹もいないものだ。

雨後のたけのこ状態のマカロニ・ウェスタンは粗製乱造がたたり、ブームの

去るのに、時間はかからなかった・・・。

で、この三作はレオーネ、「ガンマン」シリーズと呼ばれ、以降の三作は「ワンス・

アポン・ア・タイム」シリーズと呼ばれるらしい・・・。


          といったところで、ではではこの辺にて、またのお越しを・・・。