「キャリー」をいじめないで! 彼女が泣くと・・・ | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

女性の怨念のすさまじさ、いや人間の怒りの凄さを超能力という

あやふやなもので表現したスティーブン・キングの処女作品を

ブライアン・デ・パルマが監督をして、七十七年に公開された

恐怖映画である。これを簡単にホラーで片付けるには忍びない。

「サスペリア」がイタリアらしい、おどろおどろしい仕掛けを作った

少女をもてあそぶ娯楽作品だとすれば、こちらはキングの作品

に流れる人間の不条理や、嫉妬そして潜在的差別意識などを

批判する社会性を帯びている、そしてパルマのパラノイア的映像

美が、サイキック・ホラーを観客にがっちりと押し付ける秀逸な作品

である。


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http://www.youtube.com/watch?v=p3hmHeHYmuI

映画「キャリー」のクライマックス・シーンを中心にした

ファン編集の動画。

http://www.youtube.com/watch?v=0eh-gLjR33k&mode=related&search =

こちらはクライマックスのみの編集動画。


残酷描写が随所に織り込まれているが、「家族愛の崩壊」から

性格的に受身になる人間は、どうしても他人に恐れを抱き、孤立

してしまう。すると人間の醜い優越感が、人間を人間として扱えなくなり、

「いじめ」の対象としてのみ存在することになる。

キングの小説の特徴である人間の醜さと、それへの憎悪が超常現象と

して扱われる。実際は怨念としての表現として使ったものが、パルマは

より過激な表現方法を取った・・・。

努々人間を人間として扱わない鬼畜にも劣る人は、気をつけられたし。

あの「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を発展させれば、犯人への

仕打ちは「キャリー」並で良かったのではないか・・・。

あの「山口光市母子殺人事件」の犯人も、怨念での狂い死にがふさわ

しい死に方だと思うが、如何かな?・・・。

この世での不条理には、こんな映画の超能力がもっとも合理的な

解決方法である。

そんなことをつくづく思わせる映画である。


                  ではでは・・・、またのお越しを・・・。