暑い時期になると、なぜか怖い話しが多くなる。
日本の怪談もおどろおどろした物語が多いが、それらを凌駕し
残酷場面を挿入して、その上耳に入り込む音からも、より以上な
「怖さ」を見事に結実させたのが「決して一人では見ないで下さい」
の秀逸なキャッチ・コピーで話題を撒いた「サスペリア」である。
この七十七年公開のダリル・アルジェント監督作品は、恐怖にミス
テリーといけにえ的主人公に、可愛らしい女の子を据えたところで
怖さの倍増を狙った、ホラーというジャンルを切り開く礎となった。
http://www.youtube.com/watch?v=r5aT9T10x-w&mode=related&search =
オープニンクの「空港からバレエ学校」への車中からして、もう巧みな演出が
なされ、観客はすっと吸い込まれていく。
そして有り得ない色のおどろおどろした建物が、惨劇の舞台のバレエ学校で
ここでもう「キーワード」が語られ、どんどん恐怖が加速していく。
そして残虐な殺人方法と、サディステックに少女を追い込む映像は、少女の
はかなさを際立たせる。
http://www.youtube.com/watch?v=JOV8I1rYvdQ
そしてラスト・シーンの・・・。
それにしてもこの色彩感覚と、気持ちを不安にさせる音楽の相乗効果は、
観客を異空間に誘い込む役割を果たし、不安を掻き立て主人公に共感を
覚えると共に、恐怖が倍加していく。そしてはらはらした後の少女の薄気味
悪い笑いで、一気に脱力する。
怖さを体験するには、そして暑さしのぎの首筋の冷える感じは、この映画の
醍醐味だろう。もっともイタリア映画のあざとさは単純に見ないと、腹が立つ
場合もある。娯楽作品としてこれはこれで一級品だ・・・。
ではではこの辺で、またのお越しを・・・。