作品を理解したネーミングによって、より以上にその映画のイメージ
が変ってしまうということもある。
これも原題の「ボニーとクライド」そのままだったら、犯罪を決行する
いかれた男女二人組の、悲惨な末路ってな意識を見る前の客は
もってしまうかもしれないが、それが「俺たちに明日はない」という、
優れた邦題を付けられると、すぐに無頼なやつらの破天荒な生き方
って頭に浮かぶし、アウトローの無軌道さにある種の共感を覚える。
そもそも反体制ってな言葉に潜む、権力への反発・反抗ってのは、
善悪を超越してカルト的尊敬を受ける。
この映画も、まともな職もなく蔑まれる周囲に対する反発から、犯罪
へと突き進み、途中立ち止まりしかしエスカレートしていく自分自身を
制御出来ない未熟さも露呈させる、その未熟さが共感を呼び公開さ
れてからも、これに影響を受けた作品が生み出されていった。
http://www.youtube.com/watch?v=BizxiDtFdrI&mode=related&search =
宣伝用の動画。http://www.youtube.com/watch?v=mbCmXBUubNo&mode=related&search =
こちらは実際の「ボニーとクライド」の射殺されたニュース映像。
http://www.youtube.com/watch?v=icMTVV5Lwaw
この音楽があって、犯罪映画からの脱却があり、そして残虐な描写も
救われる。ブルー・グラスの名曲「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」
演奏しているのアール・スラグッスとスティーブ・マーチン。
バンジョーの音色は、裏に隠された人生の重さを努めて明るさへ変化
させ「気楽に行こう」的励ましにもとれ、この映画の裏にある重さを軽く
し逃走シーンには、ぴったりだった。
こうして見ていると、残酷なラスト・シーンが無軌道な暴走の最終章を
自らの手で葬るのでなく、葬り去られるあの種のいまいましさを見てい
る客は感じてしまうから、善悪を超越し主人公達に共感するのかも・・。
昔の映画監督は、やはり作りたい映画を作った感じで映像に媚がない
このところそんな監督作品を見ていないのは、世の中が変化しすぎた
からなのか、はたまた質が落ちた?・・・。
この映画の日本でのヒットには、少なからず邦題を考えた人の力が
及んでいたのではないだろうか、日本語は少ない字数で、人生の薀蓄
を分からせる優れた言語だ。
ではでは・・・。 またのお越しを・・・。