サザンオールスターズの最新フルアルバム『THANK YOU SO MUCH』を聴いて感想を書く企画の続きです。
4曲目は「暮れゆく街のふたり」です。ノリノリの1曲目から徐々にスローダウンし、憂いのある歌謡曲テイストの本作に至るのは構成の妙です。「カモメ」という歌詞から港町で待つ女というシチュエーションを想像できます。このシチュエーションでは歌謡曲どころか演歌のテイストが出そうなところを抑えているのは、サザンがJ-POPの最前線に居続ける所以です。
5曲目は「盆ギリ恋歌」です。4曲目で減速し切ったところに、お祭り騒ぎで弾ける楽曲を持ってきたので効果倍増です。仮歌のタイトルが「恋のパッポン通り」であったことから分かるように、東南アジア的な猥雑さが発散されています。欧米だけでなく、東南アジアの音楽も取り入れるサザンは多様性のパイオニアと言えます。日本、欧米、東南アジアの音楽が混在するカオスを統合しているのはクラップハンズ(手拍子)のリズムです。クラップハンズは万国共通ですから。
6曲目は「ごめんね母さん」です。デジタルなメロディにダークな歌詞をのせた奇妙な味わいの作品です。桑田佳祐が田舎から上京したホストがやらかしたことを想像して書いた歌詞は、原由子に闇バイトのことだと解されたそうです。原の解釈によって現代性や社会性を強く帯びて聴こえてきます。メロディは単調で、歌詞の面白さを味わう曲です。
7曲目は「風のタイムマシンにのって」です。アルバムの中盤に原坊のボーカル曲が置かれました。湘南エリアをドライブした時に見える風景が歌詞で描かれ、爽やかな疾走感がある曲です。あまりにも爽やかなので、今夏の三ツ矢サイダーのCMに使用して欲しいです。サザンデビュー時から歌われてきた湘南の風景は、桑田のノスタルジー発露でもあります。
まだ次回に続きます。
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