【映画評】昭和侠客伝 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。落札された備蓄米が運搬→精米→包装→運搬の過程を経ずに即日でスーパーの店頭に並ぶと思う消費者は、種にお湯をかければ3分間で野菜ができると思うタイプのおバカさんなのかな。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『昭和侠客伝』です。

 

昭和初期の浅草を舞台に老舗ヤクザの桜一家と新興ヤクザの黒帯一家が抗争を繰り広げる。1963年公開作品。監督は石井輝男で、出演は鶴田浩二、大木実、梅宮辰夫、内田良平、三田佳子、丘さとみ、待田京介、芦屋雁之助、坂本スミ子、木村俊恵、小林裕子、山本麟一、神田隆、平幹二朗、三井弘次、嵐寛寿郎。

 

石井輝男監督の任侠映画です。石井監督にとって唯一の本格的任侠映画です。『網走番外地』も『現代仁侠史』も厳密に言えば仁侠映画ではありません。

 

本作は仁侠映画が流行り始めた頃、東映東京撮影所で作られました。当時は東映東京で現代劇、東映京都で時代劇が主に作られており、本作の出演者は現代劇であるギャング映画の常連俳優が中心です。その後、仁侠映画路線に適応できた鶴田浩二がいれば、仁侠映画から離れた平幹二朗もいます。

 

情報量の多いストーリーでありながら、本作は90分程度の上映時間にテンポ良く収められています。それは登場人物のキャラクターにメリハリを付け、分かり易くしているからです。善人は如何にも善人であり、悪人は如何にも悪人である演出なのです。最近の日本映画は分かり易いキャラクター設定をベタだと忌避し、人物説明に時間をかけるので上映時間が長くなる傾向があります。

 

石井監督はヤクザ映画嫌いで、本当は成瀬巳喜男監督作品のようなメロドラマが好きだったそうです。そのため、仁侠映画としてオファーを受けながら、結ばれない男女の恋愛、会えない母への思慕という要素を取り入れ、自己流に消化することによって、本作を鑑賞に堪え得る娯楽作品に仕上げたのです。

 

★★★☆☆(2025年3月10日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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