どうも。外国人労働者(主にアジア系)に頼らざるを得ない経済的状況にある日本なのに、外国人(主にアジア系)を差別して排除したがる日本人(主にネトウヨ)は国力低下を招こうとしているのだから、愛国者ではなく日本の敵です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ミッドサマー』です。
不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく(映画.comより引用)。2020年日本公開作品。監督はアリ・アスターで、出演はフローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィル・ポールター、ウィルヘルム・ブロングレン、アーチー・マデクウィ、エローラ・トルキア。
『ヘレディタリー 継承』で長編監督デビューしたアリ・アスターの監督第2作です。前作がホラー映画として高評価され、本作もホラー映画に分類できますが、単純なエンターテインメントに収まらない作品です。
人体破壊などショッキング描写があっても、本作の怖さはジワジワと効いてくるのが特徴です。穏やかで平和そうな北欧の村が、ダニー(フローレンス・ピュー)たちを静かに襲ってきます。
村の様子を引きの画で撮る場合、背景となる村人たちの生活が丁寧に演出されています。この細部へのこだわりが村の存在にリアリティーを与えます。そして、その何気ない生活描写の中に、後の展開の伏線になるものもあります。
村を訪れたダニーたちは「ハードな『楢山節考』」を見せられ、交通の不便さにより逃げられない状況下で村の奇習に慣らされていきます。これはカルト集団の洗脳方法に則しています。怪しげな新興宗教団体や自己啓発セミナーが田舎で集団生活を営むのは、よくある事例です。
カルト集団による洗脳と言われたら、有害でネガティヴな印象しかありません。しかし、そのシステムにどっぷりと浸かれば、中にいる人は幸福感を得られてしまいます。家族の死による負の感情を抱えていたダニーは、それらを村の奇習に浸かることで浄化します。それは、村外にある既存のシステムではダニーを癒すことができなかったという敗北を意味します。
それでも本作で描かれる村の奇習が気持ち悪いものであることは間違いありませんが、その村の奇習は村を存続させる子孫繁栄を目的としています。それならば少子化対策として、旧来の家族観によって他人(特に女性)の結婚やセックスに干渉する日本のおっさん連中も同レベルで気持ち悪いものであろうことに気付かされるのです。
★★★★☆(2024年5月11日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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