【映画評】いくつになってもやりたい男と女 たそがれ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。台湾政府が中国からの支援を政治的理由で拒否した場合、苦境にある被災者から強烈な反感を買いそうな気がします。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『いくつになってもやりたい男と女 たそがれ』です。

 

65歳の左官職人である鮒吉は同窓会で再会した和子への恋心を再燃させる。2007年公開のピンク映画。監督はいまおかしんじで、出演は多賀勝一、並木橋靖子、速水今日子、山田雅史、福田善晴、高見国一。

 

高齢者カップルが主役という珍しいピンク映画です。カップルの一方が若者というのは、アダルトビデオを含め、珍しくない設定ですけどね。熟女物とか老け専とか呼ばれるジャンルです。

 

65歳の鮒吉役を当時63歳の多賀勝一が演じています。鮒吉の初恋の人である和子役を演じる並木橋靖子は、熟女AV女優としても活動しています。他の出演者も高齢者俳優で占められ、リアリティーのある演技を見ることができます。

 

その一方で鮒吉とその親友たちの回想シーンでは、若い代役を立てることなく、高齢者俳優本人が学生服を着て演じています。会話のツッコミとして黒髪のカツラを剥ぎ取るなど、リアリティー無視で笑わせにかかってきます。

 

舞台が大阪を中心とする関西なので、出演者は関西弁の台詞で話します。回想シーンのおふざけ、関西弁のリズムが高齢者の老いや身近な死という重く悲しい話を軽やかで笑える話に軌道修正しています。

 

濡れ場シーンについては、ピンク映画であるため本番行為の必要がありません。これがアダルトビデオであれば、高齢者男優がバイアグラのお世話になるでしょう。そしてエロの中核となる本番行為を描けないからこそ、エロの周縁である表情、仕草や言葉遣いの演出力が問われ、それに成功しています。

 

高齢者を主役とする「老人映画」というジャンルがあれば、洋画ではクリント・イーストウッド、邦画では新藤兼人が監督として第一人者でしょう。メジャーな彼らの作品に比べ、マイナーな本作でも「高齢者の性」というテーマに踏み込み、それを軽妙でありながら悲哀を漂わせて描く点で、決して劣らぬ傑作となり得ているのです。

 

★★★★☆(2024年2月19日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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