【映画評】不思議惑星キン・ザ・ザ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。「自衛官は制服常時着用しなければならない」という国会答弁を順守すれば、自衛官は息抜きでパチンコ店や風俗店に行く時も制服着用ですか。他の客にジロジロ見られる自衛官は大変ですね。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『不思議惑星キン・ザ・ザ』です。

 

ある日、建築技師のマシコフは、「あそこに自分は異星人だという男たちがいる」と困った様子の学生ゲデバンに助けを求められる。異星人など信じられないマシコフが、その男たちが持っていた空間移動装置のボタンを押すと、次の瞬間、マシコフとゲデバンは地球から遠く離れたキン・ザ・ザ星雲のプリュク星へとワープしていた。そこでは何故か地球のマッチが超貴重品で、2人はマッチの価値を利用してなんとか地球へ帰ろうとするのだが……(映画.comより引用)。1986年製作のソ連映画で、1989年日本公開作品。監督はゲオルギー・ダネリヤで、出演はスタニフラス・リュブシン、レバン・ガブリアゼ、エブゲーニー・レオノフ、ユーリー・ヤコブレフ。

 

ソ連で大ヒットしたSFコメディ映画です。独特の美術センスと緩い雰囲気が特徴的です。その緩さゆえ、観ると睡魔に襲われるという評価があります。しかし、私は眠たくならずに鑑賞できました。『スター・ウォーズ』のようなSFアクション映画だと期待せず、前もってオフビートな作品だと覚悟して観れば、眠くなることはありません(睡眠不足でない限り)。

 

プリュク星にはチャトル人とパッツ人が住んでいます。この二つの人種を外見で判別することはできず、識別器を用いて判別します。そしてチャトル人はパッツ人を支配して差別します。これはソ連内でも人種や民族で差別があったことの風刺です。ロシア人は外見上の違いがないグルジア(現ジョージア)人やウクライナ人を差別してきた歴史があり、その支配的な政治的姿勢が近年のウクライナ侵攻に表れています。

 

またエツィロップと呼ばれる警官たちが高圧的に振る舞っても、プリュク星の人々は反抗せずに従います。これもソ連内における警察など権力機構の横暴さを風刺したものです。本作が製作された時代と国から、ソ連に対する社会風刺と限定解釈されがちですが、理不尽な差別と権力行使は他の国でも見られる現象です。

 

本作に込められた社会風刺は、時空を超えて現代日本にも突き刺さるものがあります。その緩い雰囲気と違い、本作は鋭い批判精神に基づいて作られたSF映画なのです。

 

★★★☆☆(2024年2月3日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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