どうも。人の生死がかかった案件で仕事をしない責任者が非難されるのは社会常識です。震災対応がお粗末な政府と石川県(というか馳浩県知事)をデマや屁理屈で擁護する連中は社会不適合者でしかありません。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『東京の合唱』です。
会社の同僚の解雇に抗議して、自分も解雇されたサラリーマンの悲哀を描く。1931年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は岡田時彦、八雲恵美子、菅原秀雄、高峰秀子、斎藤達雄、飯田蝶子、坂本武。
小津安二郎が戦前に監督した白黒サイレント映画です。後にスター俳優になる高峰秀子が子役で出演しています。
子役、特に主人公の長男の描き方から、小津監督の「子供嫌い」を見ることができます。正確には子供嫌いというより、子供を大人社会のルールが通用しない怪物と捉えることです。
本作が公開された当時、世界恐慌の影響で日本は不景気でした。だから会社員の革靴がボロボロである、ボーナスが出ても子供に自転車を買えないなどの貧乏描写があります。
本作から喜劇的演出を取り除き、演者を無表情にすれば、アキ・カウリスマキ監督作品のような寒々とした映画になるでしょう(カウリスマキ作品で描かれるフィンランドも、幸福度が高い福祉国家フィンランドの一面です)。カウリスマキ監督が本作をリメイクしても面白そうです。
そして長引く不景気で貧乏国家になりつつある現代日本を舞台にしても、本作はリメイクできそうな作品なのです。
★★★☆☆(2023年12月16日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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