【映画評】暁の追跡 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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どうも。イーロン・マスクはTwitterをSNSのみならず、決済機能やゲーム機能まで含むスーパーアプリに生まれ変わらせたいそうです。マイナンバーカードに健康保険証や運転免許証の機能まで統合しようとする発想と似ています。イーロンは意外とバカ?

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『暁の追跡』です。

 

交番勤務の警察官の過失により、ある事件の犯人が自殺してしまう。その事件の背後に麻薬組織が関係していると知った警察官は、逡巡しながらも真犯人追跡に動く。1950年公開作品。監督は市川崑で、出演は池部良、田崎潤、水島道太郎、野上千鶴子、杉葉子、北林谷栄、伊藤雄之助。

 

市川崑が新東宝在籍時に監督したサスペンス映画です。原作者の中川淳が警察官で、警視庁が撮影に全面協力しています。それ故に本物の交番をロケ地にして、本物の警察官がエキストラ出演しています。

 

それでは単なる警察プロパガンダ映画になるところ、脚本の新藤兼人がそうはさせませんでした。警察官を勧善懲悪的な正義の味方とせず、悩みもすれば弱さも見せる人間として描く批評性のある脚本になっています。

 

当時の市川作品では、和田夏十の脚本であることが多かったにもかかわらず、本作では外されています。もし和田の脚本であれば、警察組織のホモソーシャル(男性優位社会)的体質を批判するような内容になり、警視庁が喜ばない映画になったかもしれません。

 

作品全体はリアリズム重視のドキュメンタリー調です。それでも影絵のように陰影を強調したカット、テンポの速い編集、時折挿まれるコミカルな演出など市川監督の個性は発揮されている作品なのです。

 

★★★☆☆(2023年7月5日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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