第十八課 捕鯨の業。 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十年発行の『普通讀本四編上』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
   第十八課 捕鯨の業。
 
捕鯨の業は、毎年四五月の交より始め、七八月に至りて止む。小艇數艘を隊に組み、艇毎に船長一人あり、掌楫者投銛者若干人を載せ、鯨を見て進む。進で適宜の距離に至れば、投銛者先づ力を極めて銛を擲ち、鯨體に刺す、鯨は驚きて銛を帯びたるまま深く海底に沈没す。而るに銛には豫め長索を施したれば、乃ち之を延べ、鯨の徃く所に任せ、再び水面に浮ぶを窺て、又銛を擲つこと初の如くす、斯くて數回に及べば、鯨は遂に疲勞して斃るるに至るなり。然れども傷鯨時に怒て其尾を掉ひ、船を毀ち沈め、漁夫を溺らすことあり、故に捕鯨の業は、甚だ危険とす。然れども幸に之を捕り獲るときは。一舉に千金の利を攫すべし。我が國にては、北海道、紀伊熊の浦、肥前平戸五島等にて多く之を獵す。
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【私なりの現代語訳】
 
捕鯨の仕事は、毎年4月と5月の変わり目から始め、7月か8月に至って終えます。小さな船数艘を一団として組織し、船ごとに船長が1人いて、舵取り担当と銛撃ち担当若干人を乗せ、鯨を見て進みます。進んで適した距離に至れば、銛撃ち担当が先ず力いっぱい銛を投げ、鯨の体に刺すと、鯨は驚いて銛を付けたまま深い海底に沈みます。ところで銛には予め長いロープを結んでおり、すぐにこれを延ばし、鯨の行くがままにし、再び水面に浮かぶ様子を見て、また初めのように銛を撃ち、これが数回に及べば、鯨は遂に疲れ切って死に至ります。それでも傷ついた鯨は時に怒って、その尾びれを振り落とし、船を壊して沈め、漁師を溺れさせることがあり、故に捕鯨の仕事は、大変危険です。それでも幸いなことに鯨を捕獲できた場合は、一挙に大金を得ることができます。我が国では、北海道、紀伊(和歌山県)熊の浦、肥前(長崎県)平戸五島などで多く鯨が獲れます。
 
【私の一言】
 
現代ならば、シーシェパードに妨害されそうな捕鯨の仕事です。商業捕鯨が禁止されて久しい日本では、DeNAベイスターズの前身が大洋ホエールズで、なぜ球団名に「ホエール」が入っているか分からない子供が多そうですね。
 
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