大杉漣さんが急性心不全で死去、66歳
俳優の大杉漣(本名・大杉孝=おおすぎ・たかし)さんが21日、急性心不全で亡くなったことが分かった。所属事務所が発表した。66歳だった。
事務所のホームページによると、大杉さんは午前3時53分に亡くなったという。葬儀は本人や家族の意向により親族のみで執り行う予定で、お別れの会は詳細が決まり次第、発表するとしている。
映画「ソナチネ」「HANA―BI」など、数多くの映画、ドラマ、舞台で活躍した大杉さん。21日放送予定のテレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ」(水曜・後9時54分)にも出演中の大杉さん。5日に行われた同作の会見にも登場していた。18日には自身のブログ「大杉漣の風トラ便り」に、愛猫の写真と共に「こんな顔でぼくを見ます ご飯にして欲しいのだと思います」などと書き込んでいた。
大杉さんの代表作を挙げろと言われたら、かなり悩みます。何しろ出演作が多すぎます。一時期は海外の映画祭に出品された日本映画に脇役として出演しまくって、海外の映画評論家から「日本には大杉漣が何人いるんだ?」という声が出たほどです。
北野武監督作品以外で印象に残った役を思い出してみましょう。周防正行監督のデビュー作『変態家族 兄貴の嫁さん』では、笠智衆の演技をコピーしていました。同作は小津安二郎監督の『晩春』にオマージュを捧げたピンク映画ですから。
三池崇史監督の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』で演じた役も思い出しました。尋常ではない量のコカインを掃除機のように鼻から吸引してラリっている中国人マフィアの役です。しかし訃報を知った時、真っ先に思い出したのは佐々木浩久監督の『発狂する唇』の大佐役です。股間に詰め物をして、もっこりさせたレオタード姿の大杉さんが踊ります。忘れられません。
これらの奇抜な役の他、堅実に脇を固める名バイプレイヤーとしての仕事が多かった大杉さんです。Yahoo!映画で検索したら、大杉さんの出演作は308件ありました。これには、売れない頃に出ていたピンク映画などが含まれていないので、もし今日から大杉さんの出演作を1日1本ペースの鑑賞でコンプリートしようとすれば、1年はかかることになります。
まあ、そこまで頑張らなくても、ここ20年間の日本映画を観れば、大杉さんの姿を目にする確率は高いです。これからも忘れようとしても思い出してしまう存在であり続けるでしょう。
ご冥福をお祈りします。
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