幕末の江戸。将軍の警護と治安維持を目的に結成された彰義隊は市民たちから厚い信頼を寄せられていたが、幕府の解体により反政府的な立場へと追いやられてしまっていた。将軍・慶喜に忠誠を誓った極は、友人・悌二郎の妹との婚約を破談にしてまで彰義隊に身を投じる。一方、極と悌二郎の幼なじみである柾之助は、養子先から追い出され、行く当てのないまま彰義隊に入隊。また、悌二郎は彰義隊の存在意義に疑問を抱きながらも、極たちと関わったために運命を翻弄されていく（映画.comより引用）。2015年公開作品。監督は小林達夫で、出演は柳楽優弥、瀬戸康史、岡本天音、門脇麦、オダギリジョー。
今年は「明治維新150年」に当たるので、政府が記念キャンペーンを行っています（そんなもの、大コケすればいいのに）。幕末の歴史物では、“勝ち組”である薩長土肥ではなく、“負け組”である新撰組や白虎隊を題材にした方が、悲壮感漂う良いドラマになることがあります。本作も“負け組”である彰義隊を描いているので、良いドラマになりそうな期待はありました。
しかし、青春時代を謳歌していた若者たちが散っていく悲劇を描くにしては、作品全体のテンションが平板です。陽気なコメディ調で青春時代を描き、やがて重苦しい現実に直面していく流れにすれば、ドラマチックになりそうですが、その前半部分が大人し過ぎます。あるいは、静かなトーンを通しながらも緊張感が張り詰める感じにすれば、盛り上がりに欠けても見応えはありそうですが、作品の空気感は緩めです。ただボンヤリと時間が流れていくような映画です。
作品の途中で挿入される怪異譚は、杉浦日向子の原作漫画にもあるのでしょう。しかし、本作のようにボンヤリした映画だと、怪異譚もサラッと流されてしまい、効果的ではありません。単にVFX自慢したかっただけではないかと疑います（大したことないVFXですが）。
漫画が原作の時代物で、幻想的なテイストがある映画に『蟲師』があり、同作を観た時にも似たような感覚に襲われました。『蟲師』にも本作にもオダギリジョーが出演しているというのは、何かの因縁でしょうか。
★☆☆☆☆（2018年2月3日（土）テレビ鑑賞）
これ、モントリオール世界映画祭に出品したのかよ。
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