【映画評】ルパン三世 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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所有する者は世界を統べると言われる秘宝「クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ」を盗み出すため、鉄壁のセキュリティを誇る要塞「ナヴァロンの箱舟」に挑むルパンと仲間たちの姿を描く(映画.comより引用)。2014年公開作品。監督は北村龍平で、出演は小栗旬、玉山鉄二、綾野剛、黒木メイサ、ジェリー・イェン、キム・ジュン、浅野忠信。
 
モンキー・パンチの漫画を原作とする二度目の実写映画です。一度目の実写化は1974年の『ルパン三世 念力珍作戦』であり、コメディ映画です(監督はクレージーキャッツ主演映画を撮ってきた坪島孝ですから)。当時はテレビアニメ版のイメージが広く定着する前なので、ストーリーや登場人物に大胆な変更を加えても、大きく騒がれることはなかったようです。ちなみにルパン役は目黒祐樹、次元役は田中邦衛、不二子役は江崎英子、銭形役は伊東四朗です(五エ門役は不在)。
 
その1974年当時と異なり、テレビアニメ版のイメージがすっかり定着してから、『ルパン三世』を実写化しようというのは、かなり無茶な挑戦になります。まずファンから叩かれがちなキャスティングについて、ルパン役の小栗旬、次元役の玉山鉄二、五エ門役の綾野剛、不二子役の黒木メイサは健闘しています。銭形役の浅野忠信は、もっとカッコ悪い三枚目俳優で良かったでしょう。
 
そう言えば、20年近く前のKDDIのCMで永瀬正敏、浅野忠信、豊川悦司が共演していた時、それぞれルパン、次元、五エ門の役を当てれば、実写化できると期待したものです。特に20年前の永瀬なら適役です(濱マイクならぬ濱ルパン?)。
 
本作に話を戻しましょう。東南アジア圏(シンガポール、香港、タイ、フィリピン)で海外ロケをし、外国人キャストもいる漫画実写化作品だと、『ゴルゴ13』を思い出します。しかも高倉健主演の『ゴルゴ13』ではなく、千葉真一主演の『ゴルゴ13 九竜の首の方です。主人公のデューク東郷は一流の狙撃手という設定なのに、千葉お得意の空手アクションばかりを見せられるという、今ならネットでボコボコに叩かれそうな内容です。しかし、千葉本人のキャラクターのおかげで、「千葉ちゃんだったら、しょうがないか」と諦めが付くので、何とか助かっています。
 
本作も原作のイメージから外れた格闘アクションが多めです。北村龍平監督が他作品でも出しているカラーですが、ファンは違和感を抱きます。もし千葉真一的存在(ケイン・コスギや照英あたり)がルパン役であれば、諦めが付きそうですが、そんな人は出ていません。ファンからすれば、余計なことをしているようにしか思えません。
 
それと関連して、物事を暴力で片付け過ぎなのではないかと疑問が生じます。ルパンは大泥棒という設定なのですから、誰も傷つけずに巧妙な作戦で、お宝を頂戴するという頭脳戦でいくのがあるべき姿です。ジョージ・クルーニー主演の「オーシャンズ」シリーズのようなテイストが望ましい映画です。しかし、本作におけるルパンたちの作戦は雑で大味な肉弾戦になっているのが残念です。
 
色々と気になることはありますが、本作を北村監督カラーたっぷりのB級アクション映画だと思えば、それほど悪い作品ではありません(劇場で料金を払ってまで観ようとは思いませんけどね)。ところが『ルパン三世』という看板があると、原作レイプの駄作になってしまいます。だからと言って、『ルパン三世』のネームバリューが無ければ、大掛かりな海外ロケが可能なほどの製作資金を集められなかったでしょう。本作から、日本映画における(漫画、アニメ、小説を問わず)実写化作品の悪いところが見えてくるのです。
 
★★☆☆☆(2018年1月2日(火)DVD鑑賞)
 
山本又一朗製作&北村龍平監督で漫画実写化と言えば『あずみ』もあります。
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