とんねるずの芸風について考える | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

『みなおか』終了発表まで時間がかかってしまった理由

 
お笑いコンビ・とんねるずの冠番組であるフジテレビ系のバラエティー「とんねるずのみなさんのおかげでした」が、来年3月で終了することが7日の放送で発表された。
 
放送終了間際、番組内で石橋貴明が石田弘エグゼクティブプロデューサーに扮(ふん)したダーイシ、木梨憲武が元プロデューサーで現在共同テレビの港浩一社長に扮した小港で登場。
 
ント風の演出で、石橋が「番組が終わっちまうんだよぉ」と告げると、木梨が「うわさじゃなかったのかぁ」と応じ、その後「20183月、堂々完結」のテロップが表示された。
 
「みなおか」は198810月に「とんねるずのみなさんのおかげです」としてレギュラー放送がスタート。人気キャラクターや名物コーナーを生み出し、ゴールデン・プライム帯の最長寿バラエティー番組として親しまれてきたが、30年の歴史に幕を閉じることになった。
 
「ダーイシも小港も、古くから番組を見続けているファンにとってはおなじみだが、一般にはまったくなじみがない“内輪ネタ”。そのネタで終了を発表することが、もはや時代錯誤。制作サイドの思考は時間が止まったままなので、そろそろ“引き際”だった」(テレビ局関係者)
 
同番組の打ち切りは一部スポーツ紙がスクープ。今月1日の同局定例社長会見で、宮内正喜社長は「何も決まっていない」とコメント。担当役員は「先々の話ですのでまだ何も決まっていないという状況です」とコメント。しかし、打ち切りを否定しなかった。
 
「これでとんねるずの唯一のレギュラー番組が終了。しかし、フジテレビにとってとんねるずは“恩人”ということもあり、番組終了後の“救済措置”などについて、あれこれ話をまとめていたので、終了発表まで時間がかかってしまったようだ」(芸能記者)
 
後番組には、かなりのプレッシャーがかかりそうだ。
 
転載元:リアルライブ
 
【ここから私の意見】
 
30年続いた「とんねるずのみなさんのおかげでした」(以下「みなさん」)が、来年3月で終了します。そのとんねるずは、演芸通から芸が無いのに売れているテレビタレントなどと評されることがあります。しかし、かつて高視聴率のレギュラー番組を何本も抱え、その人気を長らくキープし続けた二人は、テレビの前の大衆の心を掴む何かを持っているはずです。私個人なりに考えてみました。
 
当ブログの過去記事「ヨルタモリ」で、タモリととんねるずについて言及したことがあるので、再掲します。
 
“(前略)もともとプロの芸人ではなく、面白い素人だった森田一義は、福岡時代、ジャズミュージシャンの山下洋輔に気に入られ、漫画家の赤塚不二夫の誘いで上京し、30歳にして芸能界デビューを果たすことになります。それまで森田が数々の文化人を虜にした素人芸を披露していたのが、博多や新宿ゴールデン街のバーなのです。
 
少し話が逸れますが、タモリがバーを舞台にした素人芸をベースにしているのに対し、とんねるずは部室を舞台にした素人芸がベースになっているとも言えます。タモリととんねるずは先輩芸人に弟子入りすることなく、伝統的な芸人システムから無縁であるという共通点もあります。「笑っていいとも!」打ち切りが発表されると、とんねるずが急遽期間限定レギュラーに名乗りを上げたのは、そうした背景を考えると、意味ありげになります。”
 
黒柳徹子がタモリの芸を「密室芸」と称するのに倣えば、とんねるずの芸は「部室芸」と呼ぶにふさわしいものです(ちなみに黒柳は長らく自分の部屋(徹子の部屋)を主戦場にトーク術を披露しているので、彼女も密室芸の達人であるとも言えます)。
 
部室芸とは、中学校や高校の部室(特に運動部)で部員同士がやる、体育会系のノリが強いおふざけをテレビやラジオという公衆の場に持ち込むことです。「みなさん」で、とんねるずが後輩芸人に無茶な要求をしてイジるのは、先輩部員が後輩部員をパシリ扱いしてコキ使うのと同じく、人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」は、学校の教師やクラスメイトのモノマネで内輪ウケするのと同じです。
 
とんねるずの部室芸が人気を得たのは、視聴者の多くが部活経験を有し、体育会系のノリが身に付いている日本特有の伝統文化があるからでしょう。学校を卒業して社会人になってからも、会社組織内は縦社会で上司や先輩の命令には絶対服従であり、根性だの気合いだの精神論で無理な仕事をこなすという体育会系のノリが強く根付いている日本社会では、大人になってからも、とんねるずの笑いに共感できる下地があるのです。
 
しかし、「みなさん」の打ち切り理由は低視聴率にあり、とんねるずの部室芸が視聴者の共感を得ていないことが顕著になってきました。それは日本社会における体育会系のノリの減退が原因でしょう。
 
昔に比べたら、体育会系部活への参加は強制力を失っており、体育会系のノリを経験することなしに学校生活を終える人は極めて少数ではありません。しかも、体育会系部活で先輩の命令には絶対服従という慣習があれば、それは非難を浴び、部活離れを加速させることになるので、体育会系のノリは昔より薄まっています。大人社会でも、会社組織内で体育会系のノリを強要すれば、パワハラ企業やブラック企業の烙印を押され、糾弾の対象になるので、そういった会社や上司は淘汰されていきます。このような時代状況で、とんねるずが体育会系の部室芸を見せても、視聴者は共感できず、嫌悪感を抱くこともあります(とんねるずへの厳しい批判はネット方面から上がっており、ネット界隈は非体育会系オタク的センスが主流であることを考慮すれば、納得できる現象です)。
 
それでは「みなさん」終了後、とんねるずの部室芸はテレビから即消滅してしまうかと問われたら、そんなことはないと思います。都市部に比べ、地方では未だに体育会系のノリが強く、閉鎖的な縦社会や先輩・後輩の絆を重視するヤンキー文化が根付いているので、とんねるずの部室芸がハマる下地があるからです。近年の「みなさん」で、とんねるずが地方ロケに出て、地元の素人と絡む企画が増えているのは、それを意図したものでしょう。
 
タモリが「笑っていいとも!」終了後に「ヨルタモリ」という枠を用意されたように、「みなさん」終了後のとんねるずにもゴールデンタイム以外の番組枠が用意されるでしょう。そして、その枠で部室芸を時代に合わせてバージョンアップできるかどうかが、とんねるず人気復活の鍵になると思うのです(ただ、とんねるずはずっと個人事務所で、中間搾取されることなく高額ギャラを得て貯蓄しているようなので、経済面での焦りはないようですけどね)。
 
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