【映画評】告訴せず | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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金権政治を取り巻く人間の醜い欲望とうずまく黒い霧の中で抹殺された一人の男の哀歓を描く(映画.comより引用)。1975年公開作品。監督は堀川弘道で、出演は青島幸男、江波杏子、渡辺文雄、悠木千帆(樹木希林)、小松方正、加藤嘉、村井国夫、西村晃、小沢栄太郎。
 
松本清張原作の社会派サスペンスです。選挙の裏金を持ち逃げした小市民の男(青島幸男)が、逃亡先の旅館で知り合った女中(江波杏子)を連れて逃亡します。裏金を元手に小豆相場で大儲けし、モーテル経営に乗り出した男に訪れる運命とは……という話です。秘密にしていたヤバい過去に復讐されるという筋書きは、『ゼロの焦点』や『砂の器』と同じ清張作品の定番と言えます。
 
社会派作品だから大島渚作品常連の渡辺文雄と小松方正が、清張原作だから加藤嘉がキャスティングされたのでしょうか。政界の闇の部分を象徴する役を演じている西村晃と小沢栄太郎が怖いです。
 
女中は登場当初は慎ましく大人しい態度ですが、段々と悪女に変化していきます。悪女の存在も清張作品の定番です。しかし、演じているのが江波では、後で悪女になるのが予想できてしまいます(今時の女優であれば、菜々緒みたいなものです)。それでも、ヌードまで披露してくれる江波の熱演もあるので、文句はありません。
 
さて、主役を演じる青島の風貌は如何にも小市民的であり、自分を馬鹿にしてきた者たちへの復讐が殺人などの大それた方法ではなく、大金の持ち逃げという方法であることに説得力を与えます。放送作家やテレビタレントとして笑いを追求してきた青島ですが、本作ではギャグ無しでシリアスに演じています。
 
映画やドラマだとシリアスに演じる、お笑い出身者と言えば、北野武(ビートたけし)が代表格です。お笑い芸人、俳優、映画監督、作家、作詞家とマルチに活躍している北野ですが、青島は監督作『鐘』がカンヌ国際映画祭の国際批評家週間に入選しており、『人間万事塞翁が丙午』で直木賞を受賞し、国会議員に東京都知事と政治家としても活動しているので、北野を上回るマルチぶりであると言えます。
 
その青島が主演している本作は、北野監督作『アウトレイジのキャッチコピーみたいに「全員悪人」の話でもあるのです。
 
★★★☆☆(2017年9月30日(土)DVD鑑賞)
 
青島は「お~れ~は都知事で一番 無責任と言われた男~♪」ですね。
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