
近未来のニュー・カブキタウンで繰り広げられるストリート・ギャングたちの戦いを描く(映画.comより引用)。1988年公開作品。監督は崔洋一で、出演はつみきみほ、武田久美子、松田洋治、美加里、加藤善博、葛城ユキ、石橋保。
高口里純の少女漫画が原作になっていますが、設定が大きく変更されているので、崔洋一のオリジナル脚本として観るべきです(本作公開と同時期にテレビドラマ版も放送されており、そちらは原作に近いようです)。
舞台となるニュー・カブキタウンは、アジアン・テイストの強い近未来の無国籍タウンとして描かれ、安っぽい『ブレードランナー』のようでもあります。制作時である1980年代的なノリを古臭くも感じますが、崔監督らしい引きの画の多用、クールな演出、ハードな暴力描写を楽しむことができます。
しかし、メインの出演者が演技経験に乏しい若手俳優なので、崔の書いたハードボイルドな台詞がしっくりと馴染まず、いわゆる「学芸会」感が強いです。登場人物のアダルトな背景もぼやかされています。
本作の同時上映が宮沢りえ主演の『ぼくらの七日間戦争』であることから、本作は10代の客層をターゲットにしていたと思われます。それが若手俳優の起用やアダルト要素の抑制に繋がり、崔の世界観と合わない結果になったということでしょう。
本作と『ぼくらの七日間戦争』は、どちらも「ガキが戦争をする」映画であり、あえて大人に反抗的な映画を子供に見せるという角川映画(というか角川春樹)らしいセンセーショナリズムがあります。しかし、両作品の出来を見れば、角川映画(というか角川春樹)の斜陽化を感じずにはいられなくなるのです。
★★☆☆☆(2017年5月11日(木)DVD鑑賞)
主題歌の「サティスファクション」を聴けば、それなりにテンションが上がります。