ハリセンボンの近藤春菜、ではなくてアメリカのドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーアの著書『アホでマヌケなアメリカ白人』から一部引用します。
「ブッシュ2世の政権は、まずはクリントン大統領の発した行政命令の多くを覆すことから始まった。これによってブッシュは、一種の怪物に仕立て上げられた。」
「逆に、彼らが国民に知られまいとしたことは―実際にはクリントンは8年間の在任中、これらの問題について、全く、あるいはほとんど何も対処していなかったということだ。そして政権終了間際になって、彼は自分の政権の見かけを取り繕い、できるだけ美化して立ち去ろうと決めた(彼は常に見かけを取り繕う男だった)―こうして、ブッシュができるだけダサダサに見えるようにした。そしていずれにせよ、それはうまくいった。」
「というのも、実際にはジョージ・W・ブッシュは、彼以前のクリントン/ゴア政権の8年間の政策を継承したにすぎないんである。」
引用文中の「ブッシュ」を「トランプ」に、「クリントン」を「オバマ」に置き換えても、成立してしまうのでしょうか。またブッシュの後に、“Change”を唱えたオバマが大統領になったことで、アメリカは変化できたのでしょうか。大統領が代わっただけで、大国アメリカの政治が劇的に変化することはありません。そんな劇的変化を願うことは一種の革命思想に近く、「社会が大転換すれば、今下位にいる自分が上位に立てる」という、努力をしない怠け者の夢想にも似ています。アメリカという国を成立させているのは、大統領個人の能力ではなく、富裕層も貧困層も含めたアメリカ国民の日々の営為です。
そうであれば、アメリカの政治は、(富裕層の利益になるのか、貧困層の利益になるのかは別として)何らかの形でアメリカの国益になるものであるはずです。少なくとも日本は、アメリカの大統領が代わったからと言って、アメリカが日本の国益を重視して政治を行うという甘い期待は持つべきではないでしょう。