【映画評】トラック野郎 男一匹桃次郎 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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マドンナに夏目雅子を迎えたシリーズ六作目は、舞台を九州に移し、剣道三段の女学生に恋する桃次郎の活躍を描く(映画.comより引用)。1977年公開作品。監督は鈴木則文で、出演は菅原文太、愛川欽也、夏目雅子、清水健太郎、春川ますみ、湯原昌幸、左とん平、浜木綿子、若山富三郎。
 
『トラック野郎』シリーズを一作目から順に、気が向いた時に観ている私としては、シリーズ中で本作が一番面白いという感想です(今後、本作を上回るものがあるかもしれません)。まあ、シリーズ全作ともストーリーは大体同じなので、ストーリー以外の部分をどう盛り上げるかが肝心なのですけど。
 
男はつらいよ』シリーズで渥美清演じる車寅次郎が国民的人気者になることで丸くなっていく中、その尖った下品な部分をパワーアップしたかのような星桃次郎を菅原文太が演じています。その桃次郎と愛川欽也演じる“やもめのジョナサン”松下金蔵が、シリーズお馴染みの名コンビぶりを見せます桃次郎のせいで喧嘩別れしながらも、再び仲良くなる様は、今だったら「おじさんBL」と呼ばれ、マニアの萌え対象になりそうです。
 
マドンナ役の夏目雅子が完璧に美しいです(個人的見解)。彼女こそ「PERFECT WOMAN」です。昨年、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』で、主役の白岡あさを演じた波瑠が着物姿で凛々しく啖呵を切る姿に「『鬼龍院花子の生涯』の夏目雅子の再来」という声がありました。私としては、波瑠は誰かのコピーになることなく、自分の道を歩めばいいと思います。
 
ジョナサンが片思いする小料理屋の女将を浜木綿子が演じています。この女将は、ある秘密を抱えた役です。制作当時、浜は私生活で香川照之少年を育てるシングルマザーだったことを踏まえると、その秘密の意味が生きています。
 
桃次郎のライバル役は若山富三郎で、“子連れ狼”という他作品で演じた役をパクったニックネームを付けられています(もし弟の勝新太郎が出演したら、“座頭市”と名付けられたのでしょうか)。怖い大物感のある若山ですが、菅原演じる桃次郎との激しい格闘シーンをこなし、格闘の途中で挿まれるギャグもノリノリで演じています。勝新と同じく、サービス精神旺盛な役者です。
 
シリーズ恒例のお笑いカメオ出演枠は、笑福亭鶴光、桂歌丸、三遊亭小円遊、(舞台が九州だから)ばってん荒川という顔ぶれです。堺正章も警官役で出演しており、夏目、左とん平も出演している本作に岸部シローがいれば、テレビドラマ『西遊記Ⅱ』メンバーが揃っていたという偶然まであと一歩でした。
 
人情ドラマもあり、下ネタギャグもあり、派手なカーチェイスもある本作は、当時の“東映のボス”岡田茂の言う「泣く・笑う・(手に汗)握るの三要素」が揃った、理想的な大衆娯楽映画です。
 
★★★★☆(2016年11月5日(土)DVD鑑賞)
 
爽やかな清水健太郎も出演しています。今のシミケンは……。
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